Gunter von Minckwitz氏

 術前補助化学療法で、高い抗腫瘍効果を示すのは、治療期間が長く、トラスツズマブを投与した場合であることが、ドイツで行われた術前補助化学療法のメタ解析で明らかになった。German Breast Group(GBG) とAGO Breast Groupを代表して、Gunter von Minckwitz氏(写真)が12月14日、サンアントニオ乳癌シンポジウムのオーラルセッションで発表した。

 メタ解析は、手術可能もしくは局所進行、非転移性乳癌を対象に、アントラサイクリン系とタキサン系抗癌剤による術前補助化学療法を検討した5つの「GeparDo」試験(GeparDo、GeparDuo、GeparTrio、Gepartrio-Pilot、GeparQuattro)と3つの「AGO」試験(AGO 1、TECHNO、Prepare)の合計8つの臨床試験を対象に行われた。

 「GeparDo」(対象248人)は、投与間隔を狭めるdose-dense法 (dd)によるdd AD 療法(ドキソルビシンとドセタキセル)とdd AD 療法+タモキシフェン(TAM)の併用を比較した試験。「GeparDuo」(以下同907人)では、ddAD療法+TAMの併用と、ACD療法(ドキソルビシンとシクロホスファミドによるAC療法後にドセタキセル投与)+TAMの併用を比較した。

 「Gepartrio-Pilot」(284人)はDAC療法(ドセタキセル、AC療法)にNX療法(ビノレルビン、カペシタビン)を投与した試験。「GeparTrio」(2072人)は、DAC療法6回とDAC療法8回の比較、およびDAC療法6回とDAC-NX療法を比較した。「GeparQuattro」(1495人)は、EC療法(エピルビシンとシクロホスファミド)後にドセタキセル投与、EC療法後にDX療法(ドセタキセル、カペシタビン)、EC療法後にドセタキセル、次にカペシタビンを投与した計3群を比較した試験で、HER2陽性の場合はトラスツズマブを追加した。
 
 「AGO 1」(668人)では、EP療法(エピルビシン、パクリタキセル)とエピルビシンdd投与後にパクリタキセルdd投与の2群を比較、「TECHNO」(226人)はHER2陽性患者を対象に、EC療法後にPH療法(パクリタキセル、トラスツズマブ)を投与する試験、「Prepare」(733人)では、ECP療法(EC療法、パクリタキセル)とエピルビシンdd投与後にパクリタキセルdd 投与、さらにCMF療法(シクロホスファミド、メトトレキサ−ト、フルオロウラシル)の2群を比較した。

 病理学的完全奏効(pCR)を、胸部とリンパ節の浸潤性遺存(ypT0/is,ypN0)がない状態と定義。この結果、合計6633人のうち19.3%はpCRに至っていた。

 治療法で比較すると、トラスツズマブ非投与では22.7%だが、トラスツズマブ投与では41.1%と有意にpCRは高かった(p<0.001)。計画された治療期間で比べると、8〜12週では9.5%だが、18週では18.7%、24〜36週では19.3%と、治療期間が長い方がpCRは高かった(p<0.001)。また通常の投与法の方が、dose dense法よりも有意に高かった(p<0.001)が、同時投与と逐次投与では有意な違いはなかった。

 予後予測因子ごとに見ると、若年、小さい腫瘍サイズ、リンパ節転移陰性、ホルモン受容体陰性、HER2陽性、組織学的グレードが3の場合に、pCRは高い傾向が示された。

 これらの結果を受け、von Minckwitz氏は、「どの治療法がベストだとはいえないが、患者の特徴を考慮し選別して、術前補助化学療法を行うことになるだろう」と述べた。