イタリアIstituto Nazionale Tumori のL. Gianni氏

 化学療法単独群に比べて、トラスツズマブを同時併用投与した群では、HER2陽性乳癌患者のイベント発生率を有意に改善し、全生存率も改善する傾向が認められた。HER2陽性の乳癌患者を対象に、術前補助化学療法としてトラスツズマブを化学療法剤と併用したフェーズ3臨床試験であるNOAH試験で明らかになったもので、イタリアIstituto Nazionale Tumori のL. Gianni氏(写真)が12月12日、サンアントニオ乳癌シンポジウムのオーラルセッションで報告した。

 NOAH(NeOAdjuvant Herceptin)試験は、HER2陽性の局所進行性乳癌患者(炎症性乳癌も含む)を対象に、化学療法のみを行う群(113人)と、化学療法にトラスツズマブを併用する群(115人)、さらにHER2陰性に化学療法のみを行う群(99人)を比較した。

 Gianni氏によれば、局所進行性乳癌の生存期間中央値は3〜6年と予後は悪く、米国では乳癌患者のおよそ6%、欧州では10%を占めている。

 化学療法は、まずアントラサイクリン系抗癌剤(ドキソルビシン+パクリタクセル:AT療法)を3週間置きに3サイクル、続いてタキサン系抗癌剤(パクリタクセル:T)を3週間置きに4サイクル、次にCMF療法(シクロホスファミド、メトトレキセート、5−フルオロウラシル)を4週置きに3サイクル行った。

 併用群は同様の投与スケジュールにトラスツズマブをそれぞれ同時併用投与したが、CMF療法との併用ではトラスツズマブは3週間置きに4サイクルとした。

 これらの術前補助療法を行った後、手術および放射線療法を行い、併用群ではさらにトラスツズマブのみを3週間置きに52週まで継続投与した。

 この結果、病理学的奏効率(pCR)は化学療法単独群が23%だったのに対し、トラスツズマブ併用群は43%と有意に高かった(p=0.002)。一方、HER2陰性群のpCRは17%で、HER2陽性の化学療法単独群と有意な差は認められなかった(p=0.29)。

 36カ月の追跡期間中央値で、主要評価項目である無再発生存率(EFS)はトラスツズマブ併用群では70%、化学療法単独群は53%だった。ハザード比は0.56(95%信頼区間0.36−0.85、p=0.006)とトラスツズマブ投与によって44%の改善が示され、さらに全生存率も統計学的な有意差は検出されていないものの、35%の改善が見られた(p=0.18)。

 これらの結果から、Gianni氏は「術前のトラスツズマブと化学療法の併用は、HER2陽性局所進行性乳癌における標準的治療の1つとして位置づけられる」とした。