フランス Centre Leon BerardのBachelot T氏

 マルチキナーゼ阻害剤スニチニブトラスツズマブの併用がHER2陽性進行乳癌の新しい治療法になる可能性が明らかとなった。フェーズ2臨床試験で両剤を併用投与する場合の毒性は管理可能な範囲で、抗腫瘍効果も確認された。成果は12月13日、サンアントニオ乳癌シンポジウムのポスターセッションでフランス Centre Leon BerardのBachelot T氏(写真)によって発表された。

 フェーズ2臨床試験は、手術不能局所進行再発または転移性のHER2陽性乳癌患者を対象に行われた。化学療法を受けた経験のある患者、トラスツズマブ(±ラパチニブ)を受けたことのある患者も対象とした。スニチニブは開始用量は1日37.5mgを経口で連日投与された。トラスツズマブは毎週投与(最初の1回目だけ4mg/kgとし、2回目以降は2mg/kg)か3週置き投与(最初の1回目だけ8mg/kgとし、2回目以降は6mg/kg)とされた。患者の年齢中央値は53.6歳(31-73)。

 現在までに53人が安全性の評価が可能で、51人がRECIST基準による抗腫瘍効果の評価可能だった。2008年10月時点で10人の患者が投薬を継続されており、43人が投薬を中止された。中止例のうち9人は副作用によるものだった。2人が左室駆出率減少、あとは血小板減少症、鼻出血、心原性ショック/多臓器不全、膵臓炎、高カルシウム血症、好中球減少症、肛門瘻が、それぞれ1人だった。スニチニブの1日37.5mgは53人中34人(64%)で維持できた。

 抗腫瘍効果は完全奏効(CR)が2人、部分奏効(PR)が10人で、奏効率は24%(95%信頼区間 12.8‐37.5)となった。また、安定状態(SD)、未確認PRは21人の患者で認められ、CRとPR、24週以上のSDを合わせた臨床利益率は39%(95%信頼区間 25.8-53.9)となった。奏効が得られた12人の患者のうち11人は未治療の患者か術後補助療法のみを受けた患者で、未治療または術後補助療法のみ群に限ると奏効率は32%、臨床利益率は44%になる。無増悪生存期間中央値は26週(95%信頼区間 19.4‐31.9)となった。

 治療に関連して多く見られた非血液学的な副作用は下痢(64%)、無力症(51%)、味覚障害(47%)だった。3件の非血液学的なグレード4の副作用が見られ、左室駆出率低下、肺塞栓、膵臓炎だった。グレード5の副作用(心原性ショック)が1件あった。左室駆出率低下は17人(32%)の患者で認められた。血液学的毒性は、グレード4のヘモグロビン減少(4%)、リンパ球減少(4%)、好中球減少(4%)、血小板減少(8%)、白血球減少(2%)に認められた。