米UCLA Medical CenterのFinn RS氏

 Srcファミリーキナーゼなどを阻害するダサチニブが、トリプルネガティブ乳癌の治療薬となる可能性が明らかになった。単剤として投与したフェーズ2臨床試験で抗腫瘍効果が確認されたもので、併用による今後の開発が期待できそうだ。成果は12月10日から開催されているサンアントニオ乳癌シンポジウムで米UCLA Medical CenterのFinn RS氏(写真)によって発表された。

 フェーズ2臨床試験は、進行トリプルネガティブ乳癌患者を対象にダサチニブを連日投与することで行われた。患者は局所進行転移性のトリプルネガティブ乳癌であることが確認され、アントラサイクリン系抗癌剤かタキサン系抗癌剤、またはその両方の治療を既に受けていた。毒性のために治療が続けられなくなった患者は、非奏効とみなされた。当初の投与量は100mgの1日2回投与で、試験の途中で忍容性を改善するために70mgに減量された。2006年12月から2007年12月までに14施設で44人が登録された。途中で減少された患者は23人だった。患者の年齢中央値は55歳。診断からの時間の中央値は29.5カ月。

 43人の患者が評価可能で、7人の患者は効果の判定の前に毒性で中断となった。X線による解析で36人のうち2人で確認部分奏効(PR)が得られた。2人のPR患者のうち1人は15カ月後に病状が進行した。もう1人は16週時点で不耐容となり投与を中止した。結果、奏効率は4.7%となった。

 また安定状態(SD)は、26%にあたる11人の患者で得られ、16週を超えてSDとなった患者が2人いた。PRと長期SDをあわせた4人での臨床有益率は9.3%となった。さらに別の4人の患者で、骨痛の改善や短期間の腫瘍の縮小(11%から29%)がみられるなど、臨床的な効果を認めた。無増悪生存期間中央値は8.3週(95%信頼区間 7.3‐15.3)だった。

 忍容性は100mg1日2回投与群(23人)に比べて70mg投与群(21人)の方が高かった。重篤な副作用は100mg投与群は22%に出現したが、70mg投与群では4.8%に留まった。グレード3の毒性も少なくなり、100mg投与群では52%だったのが70mg投与群では38%になった。ダサチニブを減量した患者の割合も70mg投与群が少なかった。