大阪医療センター外科乳腺グループの増田慎三氏

 FEC100療法5-FUエピルビシンシクロホスファミド)後に、パクリタキセルトラスツズマブを併用投与するレジメンは、忍容性および抗腫瘍効果が優れ、HER2陽性乳癌術前化学療法として有望であることが、日本のフェーズ2臨床試験で明らかになった。大阪医療センター外科乳腺グループの増田慎三氏(写真)らが12月12日、サンアントニオ乳癌シンポジウムのポスターセッションで発表した。

 FEC100療法では5-FUを500mg/m2、エピルビシンを100mg/m2、シクロホスファミドを500mg/m2とし、これを3週間置きに4回行い、続いて、パクリタキセル80mg/m2とトラスツズマブ2mg/kg(初回は4mg/kg)の併用を週1回、計12回行った。

 2004年12月から2007年12月までに、43人が登録された。年齢の中央値は56歳(26‐75歳)、腫瘍サイズ中央値は40mm(15‐80mm)、ER陽性は14人(33%)だった。

 主要評価項目である病理学的完全寛解(pCR)は、24人(56%)だった。このうち4人には非浸潤性乳管癌(DCIS)が見られた。術前化学療法の後に、38人(88%)が乳房温存手術を、5人(12%)が乳房切除術を行った。腋窩リンパ節郭清を行った患者は51%で、センチネルリンパ節生検のみが49%だった。

 すべての患者で心毒性は認められなかったが、FEC100療法後、1人の患者で左室駆出率(LVEF)が17%低下した。主なグレード3/4の有害事象は、発熱性好中球減少は12%、好中球減少が35%、神経障害は9%で、演者らは「重篤な毒性は見られなかった」とした。

 また、pCRをERの状態で分けた結果、ER陰性のpCRは72%だが、ER陽性では21%と低かった (p=0.0016)。このため、「ER陽性、HER2陽性の患者に対しては、今後、新たなアプローチを検討しなければならない」と考察している。