愛知県がんセンターの岩田広治氏

 新規ステロイド型抗エストロゲン剤エストロゲン受容体(ER)αに対して完全にアンタゴニスト作用をもたらすTAS-108が、日本人の閉経後進行または転移性乳癌に有効である可能性が国内フェーズ2試験の結果、明らかとなった。成果は12月12日、サンアントニオ乳癌シンポジウムのポスターセッションで愛知県がんセンターの岩田広治氏(写真)によって発表された。

 フェーズ2臨床試験は、ERとプロゲステロン受容体(PgR)の両方かどちらかが発現している進行乳癌患者で、1件の化学療法の経験の有無には関わらず、1件か2件の標準的な内分泌療法を受けたことがある患者を対象として行われた。TAS-108 は経口で毎日24週間投与された。
 患者は1日当たりの投与量によって40mg投与群、80mg投与群、120mg投与群の3群に分けられた。病勢の進行が見られたときには投薬を終了した。

 試験の主要評価項目は臨床利益率(完全奏効、部分奏効、少なくとも24週間の安定状態)とされた。副次評価項目は全体の奏効率、増悪までの時間(TTP)、副作用とされた。子宮内膜の厚さ、骨密度はホルモン療法の特別な評価項目として調べられた。

 フェーズ2試験には、98人の患者が登録され、無作為化された。120mg投与群の1人の患者が不適格とされたため投与されなかった。そのため、97人に投薬が行われ、効果と安全性について評価された。

 結局、40mg投与群は33人、80mg投与群と120mg投与群はそれぞれ32人となった。

 試験の結果、全体の臨床利益率は26.8%で40mg投与群が30.3%(10人、98.3%信頼区間13.3-52.4)、80mg投与群25.0%(8人、98.3%信頼区間9.5-47.2)、120mg投与群は25.0%(8人、98.3%信頼区間9.5-47.2)だった。奏効率は、40mg投与群が9.1%、80mg投与群が9.4%、120mg投与群が6.3%だった。

 レトロスペクティブな解析からTAS-108は、術後アジュバント治療中または治療終了後6カ月以内に再発した患者を含むタモキシフェンあるいはアロマターゼ阻害剤(AI)による治療が失敗だった患者にも有効だった。タモキシフェンでの治療が不調った患者での臨床利益率は、全体で28.6%(14人中4人)で、40mg投与群が25.0%(4人中1人)、80mg投与群が33.3%(6人中2人)、120mg投与群が25%(4人中1人)だった。

 AIでの治療が不調だった患者の臨床利益率は、全体で27.1%(70人中19人)で、40mg投与群が30.8%(26人中8人)、80mg投与群が31.6%(19人中6人)、120mg投与群が20.0%(25人中5人)だった。

 患者はTAS-108の投与に十分耐えることができ、副作用のほとんどはグレード1か2のものだった。多かった薬剤関連副作用は、ほてり24人(24.7%、40mg投与群が9人、80mg投与群8人、120mg投与群が7人)、鼻咽頭炎17人(17.5%、40mg投与群が8人、80mg投与群6人、120mg投与群が3人)、ALP上昇が16人(16.5%、40mg投与群が7人、80mg投与群2人、120mg投与群が7人)、吐き気14人(14.4%、40mg投与群が3人、80mg投与群6人、120mg投与群が5人)、倦怠感14人(14.4%、40mg投与群が5人、80mg投与群6人、120mg投与群が4人)、多汗症14人(14.4%、40mg投与群が4人、80mg投与群4人、120mg投与群が6人)などだった。グレード4はなかった。また、子宮内膜の厚さはわずかに増える傾向はあるもののほとんど治療前後で変化はなかった。骨密度には特に治療前後で変化はなかった。

 これらの結果から岩田氏は、TAS-108の乳癌における推奨用量は40mgで、タモキシフェン、AI治療が不調だった患者にも有効な治療薬になる可能性があるとしている。