米Mayo ClinicのJim N. Ingle氏

 閉経後のエストロゲン受容体(ER)陽性乳癌に対する術後補助化学療法で、アロマターゼ阻害剤AI)投与における再発率は、タモキシフェン(TAM) と比較して、有意に低いことが確認された。AI単独による治療と、TAM投与2〜3年後に、AIに変更する逐次治療について検討した2つのメタ解析で明らかになったもの。Aromatase Inhibitors Overview Group(AIOG)を代表して、米Mayo ClinicのJim N. Ingle氏(写真)が12月11日、サンアントニオ乳癌シンポジウムのオーラルセッションで発表した。

 メタ解析はAIの単独投与を検討した試験を「コホート1」とし、TAM投与2〜3年後にAIへ変更した逐次投与を検討した試験を「コホート2」とした。コホート1には、AIであるアナストロゾールとTAMを比較した「ATAC」試験と、レトロゾールの「BIG 1-98 / IBCSG 18-98」試験が、コホート2には、アナストロゾールの「ABCSG 8」と「ARNO 95」、「ITA」、エクセメスタンの「IES / BIG 2-97」試験がそれぞれ含まれた。

 コホート1において、9856人を対象に解析した結果、AI群における乳癌の再発率は5年目に9.6%だったのに対し、TAM群では12.6%となり、8年目ではそれぞれ15.3%、19.2%だった。

 これは相対的にAIの方が約23%再発を抑制することを示している(p<0.00001)。再発部位で分けると、AIによる再発抑制は、局所再発は30%(p=0.003)、遠位再発は16%(p=0.009)、対側乳房再発は41%(p=0.0009)だった。

 乳癌による死亡率、再発以外を原因とした死亡率、全死亡率では、AI群とTAM群で有意な違いはなかった。

 コホート2は、9015人を解析対象とした。治療を変更してから3年目ではAI群の乳癌再発率は5.0%、TAM群は8.1%で、6年目ではそれぞれ12.6%、16.1%だった。相対的にはAI群は乳癌再発を29%抑制することが示された(p<0.00001)。部位別では、AIによる再発抑制率は、局所再発は40%(p=0.002)、遠位再発は24%(p=0.001)、対側乳房再発は35%だった。

 乳癌による死亡率は、治療を変更してから6年目で、AI群が6.3%、TAM群が8.0%と有意差を認めた(p=0.02)。再発以外を原因とした死亡率では有意な違いはなかったが、全死亡率はそれぞれ10.8%、13.0%とAI群の方が有意に低かった(p=0.004)。

 これらのメタ解析の結果から、AI単独による治療法でも、TAM投与2〜3年後にAIに変更する治療法でも、「AIはTAMと比較して、有意に低い乳癌再発率を示した」とIngle氏は結論づけた。