北大循環病態内科学助教の石森直樹氏

 メタボリックシンドロームの発症や進展に、脂肪組織における慢性炎症が関わっていることが最近示唆されたが、この慢性炎症にナチュラルキラーT細胞NTK細胞)が関与している可能性が報告された。北大循環病態内科学助教の石森直樹氏(写真)らは11月29日、第15回日本血管生物医学会・学術集会のポスターセッションで、NKT細胞を著減させたマウスでは、高脂肪食を与えても耐糖能異常や微量アルブミン尿の進展が抑制されることを見出したと発表した。

 石森氏らは、これまでに、NKT細胞を著減させたマウスでは、動脈硬化を引き起こす食事で飼育しても、大動脈起始部での動脈硬化病巣の進展が抑制されることを見出している(Blood 2004;104:2015-2059)。また、NKT細胞を活性化させると動脈硬化初期病巣が進展することを確認している。

 今回、NKT細胞やT細胞が著減するβ2microgloblin欠損ノックアウトマウスに高脂肪食を与える実験を行った結果、perigonadal脂肪組織重や脂肪細胞の大きさ、血漿レプチン値は、高脂肪食を与えた野生型マウスと変わらなかった。

 しかし、高脂肪食を与えたノックアウトマウスでは、耐糖能異常が改善し(IPGTT:野生型が343±31だったのに対し228±7mg/dL、p<0.05)、尿中微量アルブミン値も低下(尿中アルブミン・クレアチニン比が野生型が24±2だったのに対し10±1μg/mg)しており、普通食を与えた野生型マウス並となった。一方、高脂肪食を与えた野生型マウスでは、血漿TNF-α値が高かった(85±40pg/ml、高脂肪食ノックアウトマウスは29±6pg/mL、p<0.05)。

 これらの反応にNKT細胞が関わっていることを確認するため、NKT細胞を特異的に刺激できるα-GalCerを高脂肪食に混ぜて野生型マウスに与えたところ、α-GalCerを投与しなかったマウスと比較して耐糖能異常が増悪し(IPTGG:347±9、α-GalCerを投与しなかった場合は308±13 mg/dL、p<0.05)、尿中微量アルブミン値も増加した(35±8、投与しなかった場合は17±1μg/mg、p<0.05)。つまり、野生型マウスにおいて、NKT細胞を刺激すると耐糖能異常や微量アルブミン尿が悪化したことになる。

 石森氏は、「NKT細胞は動脈硬化層に存在しているが、脂肪組織にも存在する。メタボリックシンドロームは、症状はよく分かっているが機序はまだ不明な点が多い。機序の解明を進めるとともに、治療にもつなげていきたい」と語った。