手術などの局所療法だけではコントロールが難しいと考えられている病期C前立腺癌であっても、一部の患者には内分泌療法だけで治療効果が得られることがわかった。新潟県立がんセンター新潟病院泌尿器科の斎藤俊弘氏が、4月25日から27日に横浜市で開催された日本泌尿器科学会で報告した。

 斎藤氏は、1992〜2005年に新潟県立がんセンター新潟病院で治療した病期C前立腺癌298例(平均年齢73.5歳、平均PSA値57.2ng/mL)を対象とした。観察期間は平均61.8カ月。治療法を調べたところ、内分泌療法単独は151例、内分泌療法と照射の併用が121例、内分泌療法と全摘の併用が25例、全摘単独が1例(解析上は、内分泌療法と全摘の併用に入れた)だった。

 治療法別に患者背景を調べると、内分泌療法単独は平均年齢が77.8歳と最も高く、平均PSA値も64.8ng/mLで、最も高かった。これに対し、全摘の併用は平均年齢63.4歳、平均PSA値37.0ng/mLと、いずれも最も低値という違いがあった。このため、生存曲線を全生存率でみた場合は、10年生存率が内分泌療法単独24.7%、照射併用72.7%、全摘併用72.7%と、内分泌療法単独で明らかに劣っていた。しかし、疾患特異的生存率でみると、10年生存率は内分泌療法単独61.6%、照射併用91.7%、全摘併用78.8%と、差が縮まる傾向にあった。

 内分泌療法と照射の併用が最も効果をもたらす患者群を探るため、PSA値別に疾患特異的生存率を調べたところ、内分泌療法単独と照射の併用で有意差がみられたのは、20〜100ng/mLの群だった(p=0.0001)。20ng/mL以下および100ng/mL超では、有意な差は得られなかった。

 斎藤氏は、「PSA値が20ng/mL以下など、まずまず予後が良好と考えられる患者と、PSA値が100ng/mLを超えるなど、照射を併用しても得られる効果が少ないと思われる患者では、内分泌療法単独が適応できるのではないか」とした上で、今後、年齢別の検討をさらに加えたいと話した。