2007年9月に公表された厚生労働省研究班の前立腺がん検診ガイドライン・ドラフト(案)によって、主に市町村で実施されてきた前立腺がん検診に影響がみられたことがアンケート結果から明らかになった。福岡市前立腺がん検診委員会の古賀寛史氏が、4月25日から27日に横浜市で開催された日本泌尿器科学会で発表した。ただ、これは日本泌尿器科学会のガイドライン公開前に実施したアンケートであり、古いデータも含まれる点に留意すべきと強調した。

 アンケートは、前立腺がん検診の実態を把握するために日本泌尿器科学会が企画したもの。前立腺研究財団の協力により、2002年から2005年まで行われた「前立腺がん撲滅推進事業」の研究者を対象に、2007年12月から2008年1月にかけて実施した。重複施設を除いた95施設にアンケートを送付し、77施設から回答を得た(回収率81.1%)。

 当時、前立腺がん検診を担当していた研究者のうち、現在も担当しているのは約6割にとどまり、約3割の研究者が「担当していないので当時の状況から回答する」とした。このため古賀氏は、「すべてのデータが現在の状況を反映しているとは言えない」と、注意を促した。

 一次検診の実施主体については、75%が市町村、14%が医師会だった。検診方法は94%がPSA単独検診で、直腸診を併用しているのは3%だった。カットオフ値は一律4.0ng/mLが70%だったが、年齢などで異なるとの回答も18%あった。二次検診の実施機関は、開業医を含む泌尿器科との回答が最も多く56%、次いで基幹病院や総合病院の泌尿器科との37%だった。二次検診の医療機関をあらかじめ指定しているのは44%で、うち55%では一定の基準を満たした泌尿器科医療機関の必要があった。

 厚労省研究班の前立腺がん検診ガイドライン・ドラフト(案)の影響について、市町村からの申し入れや問い合わせがあったと答えたのは3施設で、うち1市では、前立腺がん検診の実施が中止となった。また、検診の継続に向けて、市町村に対して何か取り組みを行ったかとの問いについては、15施設が行ったと回答し、具体的には「医師会や市町村に申し入れを行った」「日本泌尿器科学会の要望書を送った」などの答えだった。

 外来で、患者から質問を受けたり説明を求められたりしたかとの問いについては、28施設が受けたと答え、内容は「PSA検査で大丈夫かと聞かれた」「前立腺がん検診は来年から廃止なのかと聞かれた」などだった。古賀氏は、「前立腺がん検診は、熱心な泌尿器科医によって始まり徐々に市町村検診へと広がってきた。有用ではないとセンセーショナルに報道したマスコミの影響も大きいのではないか」と述べた。