マルチキナーゼ阻害剤スニチニブの日本人腎摘出後再発転移腎細胞癌を対象としたフェーズ2臨床試験で高い効果が得られたことが明らかとなった。成果は4月25日から27日に横浜市で開催された日本泌尿器科学会で日本スーテント研究グループを代表して北海道大学大学院医学研究科腎泌尿器外科の篠原信雄氏によって発表された。

 篠原氏は、今回の結果について「腎癌の治療薬でこれほど有効なものはない。甲状腺機能障害や心機能障害など既に分かっている副作用や手足症候群、高血圧、血小板減少などアジア人に多い副作用に注意するのはもちろんのこと、予期しない有害事象に十分注意を払いながら、いい薬として使いこなしていくことが大切だ。また、循環器医との連携も大切」と語った。また効果については「欧米とほぼ同じか、やや日本人の方がいい」と語った。

 フェーズ2臨床試験はサイトカイン未治療および既治療の腎細胞癌患者を対象に行われた。既治療患者はサイトカインを含む全身療法1レジメンを受けたことのある患者とした。また主要評価項目は奏効率だった。患者には開始用量50mg1日1回経口投与し、4週間投与後に2週間休薬する計6週間を1サイクルとして、腫瘍増殖または副作用で中止するまで投与を継続した。投与量の減量は37.5mg、25mgとし、25mg未満は中止とした。左室駆出率(LVEF)が基準範囲下限値以上などの条件を満たす患者を対象とした。51人が試験に参加し、患者の平均年齢は58.9歳(33-77)、男性が32人だった。

 投与サイクル数の中央値は5回(1-8)で、有害事象による減量が72.5%に認められた。有害事象による中止、腫瘍の増悪による投与中止が19.6%に認められた。

 試験の結果、未治療患者25人では完全奏効1人、部分奏効11人で奏効率は48.0%(95%信頼区間27.8-68.7)、既治療患者26人では完全奏効0人、部分奏効12人で奏効率は46.2%(95%信頼区間26.6-66.6)、全体として奏効率は47.1%(95%信頼区間32.9-61.5)となった。腫瘍縮小は未治療群25人中21人、既治療群26人中25人で認められた。無増悪生存期間中央値は、未治療群が10.6カ月、既治療群が7.7カ月だった。

 有害事象でグレード3/4で主なものは血小板減少(54.9%)、好中球減少(51.0%)、リパーゼ増加(39.2%)、下痢(9.8%)、疲労(19.6%)、手足皮膚反応(13.7%)、高血圧(11.8%)だった。またその他の有害事象として、全てグレード1または2だが甲状腺機能低下症(21.6%)、グレード3の甲状腺炎が1人、心血管系有害事象としてQTc延長が2人、駆出率減少が2人に認められた。