エスロトゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2のどれも発現していない乳癌である、いわゆるトリプルネガティブ乳癌は、予後不良な乳癌といわれている。5月15日から5月17日に長崎市で行われた日本外科学会で、このトリプルネガティブ乳癌で、シクロオキシゲナーゼ2(COX2)遺伝子の発現が上昇していることが埼玉医科大学国際医療センター乳腺部腫瘍科の松浦一生氏によって発表された。

 COX2がトリプルネガティブ乳癌治療薬の標的になる可能性が示されたことになる。松浦氏は「乳癌全体を対象にしたCOX2阻害剤の臨床試験ではいい結果は出なかったが、トリプルネガティブ乳癌に絞って臨床試験を行うと良いのかもしれない」と語った。

 松浦氏は2003年から2006年までに広島大学病院で手術を行った原発性乳癌患者132人(非浸潤癌12人、浸潤性乳管癌100人、特殊型20人)の検体を対象に、遺伝子増幅法であるリアルタイムPCRを行ってCOX-2遺伝子の発現を調べた。132人中トリプルネガティブ乳癌患者は9人(7%)で、浸潤性乳管癌が7人、特殊型が2人だった。

 その結果、トリプルネガティブ乳癌患者の7人で有意にCOX2mRNAの発現が高まっていることを見出した。臨床病理学的予後因子の相関性については、乳癌組織中のCOX2mRNAの発現とグレード、リンパ節転移の有無には明らかな関係はなかった。