日本では、結腸癌などの手術前に腸管内洗浄が行われることが多い。これは、術野の汚染を減らし、術後感染を予防したり、術後に吻合部にかかる負担を軽くするためとされてきた。しかし、欧州でこれを否定する報告が相次いだことから、東京都立府中病院外科の宅間邦雄氏らは日本でも同様の研究を行った。その結果、術後合併症の発生頻度に差はなく、腸管内洗浄は不要との結論が得られたと、第108回日本外科学会定期学術集会のポスターセッションで報告した。

 対象は、2005年5月から2007年8月までに大腸の切除・吻合を行った300人。152人がポリエチレングリコールによる腸管内洗浄を行う群に、148人が行わない群に割り付けられた。両群で、年齢や性別、手術の方法に特に差はなかった。平均腫瘍径は、洗浄群で3.9cm、非洗浄群で4.5cmと、やや非洗浄群で大きい傾向があった。

 術後合併症の発生頻度は洗浄群10%(15人)、非洗浄群12%(18人)だった。内訳は、手術部位感染が洗浄群8%(12人)、非洗浄群9%(14人)、縫合不全が洗浄群2%(3人)、非洗浄群2%(3人)、腸閉塞が洗浄群4%(6人)、非洗浄群3%(5人)で、いずれも明らかな差はなかった。発熱や白血球数、さらに食事を開始するまでの日数、術後入院日数などについても、有意差はなかった。宅間氏は、「結腸の手術の際、腸管内洗浄を行う必要はない。今回、直腸の手術に関しては検討していないので、それが今後の課題」とした。