直腸カルチノイドは比較的まれな癌の一つで、直径2cm以下の病変の治療方針はまだ確立されていない。直腸カルチノイドに対して根治手術を行った症例をレトロスペクティブに解析したところ、1cm以上であればリンパ節転移の可能性が高く、局所切除術ではなく、郭清を含む根治手術が望ましいことが分かった。国立がんセンター中央病院大腸外科の塚本俊輔氏が、第108回日本外科学会定期学術集会のポスターセッションで報告した。

 塚本氏らが解析したのは、1973年から2007年に国立がんセンター中央病院でリンパ節郭清を伴う根治手術を施行した直腸カルチノイド23例(男性16例、女性7例、平均年齢53歳)。うち、側方郭清を行ったのは6例で、内訳は直腸癌の合併が2例、側方リンパ節転移を疑ったのが4例だった。

 リンパ節転移の有無に注目して解析を行ったところ、粘膜下層浸潤癌17例のうち、リンパ節転移がなかったのは8例で、半数以上にリンパ節転移が見られた。うち1例は側方リンパ節にも転移があった。腫瘍径で分けると、9mm以下の症例ではリンパ節転移は見られなかったが、10mmから14mmで9例中8例にリンパ節転移が見られた。

 予後については、リンパ節転移のなかった9例では8例が生存していたが、側方リンパ節に転移のあった3例では、肝転移を来した2例が死亡した。塚本氏は、「直径が1cm以上であれば、リンパ節郭清を伴う根治手術が必要と思われた。事前に画像診断から側方リンパ節転移を疑い、郭清を行った4例のうち3例に側方転移があった。側方リンパ節転移例は予後が悪いものの、1例は再発しておらず、側方郭清にある程度の効果があると思われた」と話した。