東大腎臓・内分泌内科の安東克之氏

 東大腎臓・内分泌内科の安東克之氏(写真)は、昨年Kidney International誌に掲載されたCARTER試験のデータを紹介し、慢性腎臓病CKD)治療におけるCa拮抗薬の位置づけの再考を促した。少なくとも腎保護作用に関してはL型Ca拮抗薬L/N型Ca拮抗薬は別の薬剤と考えるべきだという。6月1日、第51回日本腎臓学会のLate Breaking Clinical Trialsにおいて発表した。

 CARTER(Cilnidipine versus Amlodipine Randomized Trial for Evaluation in Renal Disease)は、すでにレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬を服用している腎障害合併高血圧患者において、シルニジピンとアムロジピンの尿蛋白抑制作用を比較した無作為化試験である。

 対象は、RA系阻害薬を2〜3カ月以上服用するも血圧が130/85mmHg以上、かつ現在Ca拮抗薬を服用していない20〜80歳の腎障害患者339例で、シルニジピン5〜20mg/日群(179例)とアムロジピン2.5〜7.5mg/日群(160例)に無作為割り付けされた。腎障害は「蛋白尿≧300mg/g・Cr」としたが「血清クレアチニン3.0mg/日以上」の患者は除外されている。

 試験開始時に投与されていたARB、ACE阻害薬の内訳は、両群で有意差はなかった。
 
 1年間の追跡期間中、血圧の推移は両群で同等であり、最終的にシルニジピン群が133.1/75.6mmHg、アムロジピンが134.5/77.9mg/日まで低下した。

 しかし試験開始1年後の蛋白尿/クレアチニン比の変化率は、シルニジピン群では-14.4%の低下が見られたが、アムロジピン群では+13.9%であり、両群間には有意差があった。また「試験前の尿蛋白の高低」「年齢」「性別」「試験終了時130/85mmHg未満達成の有無」で分けたいずれのサブグループで比較しても、シルニジピン群ではアムロジピン群と比較し蛋白尿の有意な減少が認められた。

 安東氏はCKDにおける降圧治療の第一選択はRAS阻害薬であるが、第二選択薬としてCa拮抗薬を投与する場合にはL/N型Ca拮抗薬が抗蛋白尿効果に優れるとした。またRAS阻害薬とL型CCBもしくは利尿薬の最新の併用スタディを引用し、「CARTER試験の結果を踏まえ、L/N型Ca拮抗薬をどのように位置づけるか、今後の課題である」と述べた。

 なお、コメンテーターの名大腎臓内科学の松尾清一氏はCARTER試験の結果を、腎臓におけるCaチャネルの分布と交感神経活動に対する作用の違いから解説した。また高血圧治療ガイドラインも引用し、シルニジピンは唯一N型チャネルを抑制するCa拮抗薬として記載されていることも示し、今後抗蛋白尿作用だけでなく、腎機能の予後に対する長期の影響も検討すべきだろう」と述べた。