昭和大第三内科の下司映一氏

 慢性腎臓病CKD)は心血管系のリスク因子であることが明らかになってきているが、高血圧患者がCKDを合併すると、リスク因子はどのようになっているのか十分な検討はなされていない。昭和大第三内科の下司映一氏(写真)らは、高血圧患者におけるCKD発症頻度と標的臓器障害の指標を検討、その結果を5月31日、第51回日本腎臓学会で発表した。

 解析対象になったのは、外来高血圧患者536例である。日本腎臓学会の「CKD診療ガイド(2007)」に相当するCKD患者は152例(28.4%)、男性(272例)の31.3%、女性(264例)の25.4%がCKDであった。536例中、推算糸球体濾過率(eGFR)が60mL/分/1.73m2未満の患者は26.0%で、わが国一般人口における割合18.4%(日本腎臓学会CKD対策委員会による)に比べ著明に高かった。

 背景因子に関して、男女別にCKD合併高血圧患者(CKD群)とCKDを認めない高血圧患者(non-CKD群)で比較したところ、男女ともCKD群で有意に多かったのは、「微量アルブミン尿陽性」「血清クレアチニン高値」「尿酸高値」「BNP高値」「手首・足首間脈波伝導速度(ba-PWV)高値」だった。また、BNP濃度とba-PWVは、eGFRと有意に逆相関していた。さらに心血管系イベント既往の有無に関しては、男性においてCKD群で有意に多く、高血圧患者がCKDを合併すると、様々な心血管系リスク因子が重積することが示された。

 下司氏は「CKDを合併すると、高血圧患者の心血管系のリスクは増加する。早期からの介入が、極めて重要と考える」と強調している。

 さらにCKDのステージの進展とアディポネクチン(Adipo)濃度の関係をみてみたが、Adipo濃度は男女ともCKD群で有意に多かった。またnon-CKD群のイベント既往例においてAdipo濃度が低値を示す傾向があった一方で、CKD群ではイベント既往例でAdipo濃度が高値を示す傾向をみとめた。

 通常、抗動脈硬化的に作用すると考えられているAdipoだが、CKDにおいては心血管系イベントのリスク因子であるという報告もあり、議論が続いている。

 「CKD患者におけるアディポネクチンの作用はまだ不明な点が多く、更なる検討が求められる」と下司氏は述べた。