東京女子医大東医療センター内科の西村英樹氏

 糖尿病性腎症に対しては、腎保護作用が期待できるレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬が推奨されるが、厳格な降圧目標を達成するためにCa拮抗薬を併用するのが一般的である。東京女子医大東医療センター内科の西村英樹氏(写真)らは5月30日、第51回日本腎臓学会で、併用するCa拮抗薬としてシルニジピンを選択すれば、アムロジピンよりも腎保護作用は良好であるとする臨床試験の結果を報告した。すでに知られているとおり、糖尿病性腎症における蛋白尿の改善は心血管系予後の予知因子である。

 本試験の対象は2型糖尿病性腎症(蛋白尿>300mg/gCr)の56例。血清クレアチニン(Cr)値は3.0mg/dL未満の患者に限った。全例RA系阻害薬を2カ月以上服用しているが血圧は130/85mmHg未満に達しておらず、またCa拮抗薬は服用していない。

 これら56例をシルニジピン併用群(27例)とアムロジピン併用群(29例)に無作為割り付けし、「130/80mmHg未満」を降圧目標として12カ月間追跡した。シルニジピン、アムロジピンともに降圧不十分な場合、増量を行なった。

 試験開始時の患者背景は、平均年齢62歳、血圧平均値は152/82mmHg、心拍数は79拍/分だった。腎機能の指標を見ると、血清Cr平均値が1.4mg/dL、蛋白尿が1916mg/gCrだった。

 追跡期間中の血圧は、収縮期・拡張期とも両群間に有意差はなかった。心拍数も同様に有意差はなかった。

 それにもかかわらず、ベースラインからの蛋白尿の変化率は、両群間で有意差が認められた。試験開始6カ月後、アムロジピン群では試験開始時に比べ蛋白尿変化率が24%増加したのに対し、シルニジピン群では15%減少し、両群間の蛋白尿の変化率には有意差が認められた(p<0.05)。同様に試験開始12カ月後においても、アムロジピン群で26%の増加、シルニジピン群で5%の減少(いずれも対試験開始時)が認められ、両群間の差は有意だった。なお、血清Cr値の変化率は両群間で差はなかった。

 西村氏らは「RA系阻害薬では降圧不十分な糖尿病性腎症患者に対しては、Ca拮抗薬の併用が有効であるが、中でも抗尿蛋白作用を明確に示したL/N型Ca拮抗薬であるシルニジピンが有用である」と結論した。