筑波大学腎臓病態分野教授の山縣邦弘氏

 厚生労働省による戦略的アウトカム研究として、2007年度からスタートした「慢性腎臓病重症化予防のための戦略研究(FROM-J:The Frontier of Renal Outcome Modifications in Japan)」の患者登録がこの6月から開始される。それに先立ち、研究リーダーを務める筑波大学腎臓病態分野教授の山縣邦弘氏(写真)が5月30日、FROM-Jのプロトコール、参加施設、参加医師の登録状況などについて、第51回日本腎臓病学会の特別企画1で報告した。

 FROM-Jは、慢性腎臓病CKD)患者の重症化を予防するには、腎臓専門医とかかりつけ医(非専門医)、さらには栄養士らコメディカルらの連携による診療システムが有用であることを検討する戦略研究。2007年4月〜2012年3月の5年間で約15億円を投入する大型研究だ。

 対象となる患者は、高血圧、糖尿病でかかりつけ医を受信中の、尿蛋白1+以上の40〜74歳の患者。2500人を登録し、「CKD診療ガイド」に則った診療を継続するA群(1250例)と、「CKD診療ガイド」に則った診療の継続に加え、受診促進支援、栄養療法指導、生活指導を行うB群(1250例)に分け、3.5年間介入し、追跡する。そして、受診継続率、かかりつけ医(非専門医)と腎臓専門医の連携の達成度、CKDのステージ進行率の3つの主要評価項目について検討する。

 2群への割り付けは、患者ごとに割り付けるのではなく、まず全国から15の幹事施設(大学病院)を公募し、その幹事施設のある都道府県の地区医師会を一つの単位として、50の地区医師会をA群とB群に無作為に割り付ける、クラスターランダム化という方法を採用した。そして、各医師会は10人のかかりつけ医を選定、1人のかかりつけ医が5人の患者を登録するという仕組みになっている。患者登録を今年9月までに終え、翌10月から2012年3月まで介入を続ける。

 介入期間中に、尿蛋白2+以上または0.5g/gCr以上になったとき、尿蛋白1+以上かつ尿潜血1+以上になったとき、推算GFRが50mL/分/1.73m2となったときなどには、腎臓専門医に紹介する。

 FROM-Jの最終的な成果目標は、CKD診療指針を遵守することによって、5年後の透析導入患者を、5年後に予測される導入患者数より15%減少させることにある。そのためのプロトコール、主要評価項目、研究のサイズ設計、クラスターランダム化の設計などを、この1年間で研究グループのアドバイザー委員会が行ってきた。

 山縣氏は「FROM-Jに期待される成果には、コメディカルを含めた医療連携診療体制を構築すること、CKD診療ガイドに則った診療がCKD患者の予後改善につながるエビデンスが得られること、一定期間でのCKDの進行が把握できること、CKD進行抑制の経済効果を検討することなど、多くのものが含まれている。クラスターとなった地区医師会の会員には、積極的に患者さんを登録して欲しい」と呼び掛けた。