「“悪性リンパ腫”といっても一括りにはできない。非常に多様な腫瘍であり、どのようなリンパ腫なのかを知らなければ治療方針は立たない」──。福岡大学筑紫病院内科第二の鈴宮淳司氏(准教授、診療部長)は、福岡市で開催された第6回日本臨床腫瘍学会学術総会(3月20〜21日)の教育セッション「悪性リンパ腫に対する標準的治療」でこう強調した。

 リンパ腫とはリンパ球に由来する悪性腫瘍の総称であり、WHO分類で病型は約30種類もある。その治療法も病型や病期などでそれぞれ異なるが、悪性リンパ腫の中で最も患者数の多い、びまん性大細胞B細胞性リンパ腫など、一部のリンパ腫では標準的治療が確立しつつある。

罹患率は10万人あたり10人

 悪性リンパ腫は組織型からホジキンリンパ腫非ホジキンリンパ腫の二つに分けられる(下表参照)。非ホジキンリンパ腫は細胞系統によって、B細胞性リンパ腫と、T/NK細胞性リンパ腫に分類され(WHO分類)、さらに増殖スピードによって低悪性度(indolent lymphoma)、中高悪性度(aggressive lymphoma)、高高悪性度(highly aggressive lymphoma)に、発生部位によってリンパ節(節性)とリンパ節以外(節外性)に細かく分類されている。

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 日本では欧米に比べてホジキンリンパ腫の割合が約5〜10%と少なく、T細胞性リンパ腫の割合が高いのが特徴だ。悪性リンパ腫の発症数は世界的にも増加傾向にあり、節性リンパ腫は年に約2%、節外性リンパ腫は年に約5%も増加するといわれている。「年間発症率は、欧米では10万人あたり20人、日本でも10万人あたり10人と、日本の罹患率は食道癌よりすこし少ない程度」と鈴宮氏はいう。子宮頸癌などの婦人科癌も同程度であり、悪性リンパ腫の発症率は決して低いとはいえない状況だ。

病型によって異なる治療

 悪性リンパ腫は化学療法で治癒が可能な腫瘍であり、病型や病期、全身状態(PS)、予後因子を考慮して治療方針が決定される。その中で、「放射線療法は限局期に単独あるいは化学療法との併用で有効な場合があるが、手術療法は原則としてリンパ腫に対する治癒を目的とした治療手段にはならない」(鈴宮氏)。

 鈴宮氏によれば、現在のところ標準的治療が確立しているのは、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫のびまん性大細胞B細胞性リンパ腫で、濾胞性リンパ腫リンパ芽球リンパ腫バーキットリンパ腫胃マルトリンパ腫慢性リンパ性白血病ヘアリー細胞白血病などに準標準的治療があるという。以下、これら病型に対する治療法を紹介する。