「悪い知らせの場合、その伝え方が患者に与える影響は大きい。そのため、悪い知らせをうまく伝えるスキルが求められる」と語るのは、国立病院機構九州がんセンターの大島彰氏。

 大島氏は、「臨床腫瘍医におけるコミュニケーション・スキル−いかに悪い知らせを伝えるか−」と題した講演を、3月20日〜21日に福岡市で開催された日本臨床腫瘍学会の教育セッションで行った。

 同講演において大島氏は、悪い知らせを伝えるコミュニケーション・スキルとして、「SHAREプロトコール」を紹介した。SHAREプロトコールとは、「Supportive environment」、「How to deliver the bad news」「Additional information」「Reassurance and Emotional support」という4つの要素の頭文字をとったもので、日本の医療現場で、患者の意向に沿って、悪い知らせを伝えるために開発されたコミュニケーション・スキルだ。患者への調査で、患者が「悪い知らせを」を伝えられる際に、望む、望まないコミュニケーションとしてあげられた70項目が4つの要素に分類できることから作成された。

 大島氏が示したSHAREプロトコールの具体例とは以下のようなもの。

 まず準備として、次回は重要な面談であることを伝え、家族の同席を促す。当日は、プライバシーが保てるような場を準備する。また、自分の身だしなみ、表情などコミュニケーションの基本も配慮する。

 その後は、起承転結で話を進める。

:患者に対してオープン・クエスチョンを投げかけ、患者の気がかりを知り、気持ちを和らげる。経過を振り返り、病気に対する患者の認識を知る。

:心の準備ができる言葉がけを行った後、「がん」という言葉を用いてわかりやすくはっきりと伝える。その上で、患者の気持ちを受け止める。この際、沈黙の時間をうまく使うこと、共感の言葉を投げかけることが重要。

:治療を含め、セカンドオピニオンや生活面への影響など、今後のことについて話し合う。

:伝えた内容を患者がどこまで理解しているかを確認する。そして、最後まで責任を持って診療にあたること、見捨てないことを伝える。「一緒にやってきましょう」などの保証を与える。

 最後に大島氏は、「コミュニケーション・スキルが良好であれば、患者の満足度が上がるだけでなく、医療者の燃え尽きを減らすことにもつながる」と述べ、良好なコミュニケーション・スキルを身につけることが医療者自身にとっても重要であると語った。