有痛性骨転移に対する疼痛緩和目的の外部放射線治療による8Gy1回照射は、有効かつ安全に施行できることが明らかとなった。多施設共同前向き試験JAROGO201の結果、示されたもの。成果は3月20日から21日に福岡市で開催された日本臨床腫瘍学会で国立がんセンター中央病院放射線治療部で、Japan Radiation Oncology Groupの伊藤芳紀氏によって発表された。

 現在、わが国では通常30Gy/10回、24Gy/6回、20Gy/5回などの分割照射が行なわれている。しかし、欧米では、病的骨折や骨折のリスクがなく、脊髄麻痺兆候や神経因性疼痛がない有痛性骨転移に対して、複数の大規模比較試験の結果、分割照射と8Gy1回照射の同等性が証明されている。1回照射は、治療が1日で済むことから患者の肉体的・時間的負担の緩和と、医療コストの節約などが期待される。今回の試験で8Gy1回照射が、わが国の日常診療でも治療選択肢の1つとなりうることが明らかとなった。

 試験の主要評価項目は、治療部位の疼痛緩和割合。副次評価項目は、治療部位の疼痛完全消失割合、疼痛緩和持続期間、急性放射線有害反応の頻度と重篤度、遅発性放射線有害反応の頻度と重篤度、QOLとした。

 試験は有痛性(0-10までのスコア評価でスコア3以上)で悪性腫瘍と病理組織学的に診断され、画像検査で転移性骨腫瘍の診断を受けた患者の疼痛の原因となっている骨転移に8Gy1回の照射を行った。病的骨折、不全骨折、脊髄圧迫兆候のある症例、頭蓋骨、手、足の骨転移症例、血液原発の悪性腫瘍などは除外した。

 疼痛スコアが0点になったものを鎮痛効果著効(CR)、疼痛スコアが登録時のスコアに比べて2点以上減少したものを鎮痛効果有効(PR)とした。鎮痛剤使用量を加味した効果判定基準は、疼痛スコアが0点となり、かつ鎮痛薬の1日使用量が減少または不変のものをCRとした。また、PRは疼痛スコアが登録時に比べて2点以上減少し、かつ鎮痛薬の使用量が減少または不変であるものと疼痛スコアに変化はないが、鎮痛薬の使用量が減少したものとした。

 2003年12月から2006年6月までに14施設から100例が登録され、このうち97例が実際に照射を受けた。年齢中央値は62歳(26-83)で原発巣は肺が31人、乳腺が23人と多かった。治療部位は脊椎が28人、骨盤骨が27人、仙骨/仙腸関節が15人と多かった。患者背景は、疼痛スコアが3-4が18人、5-6が37人、7-10が42人。鎮痛薬使用が73人、不使用が24人だった。

 全生存期間中央値は10.6カ月で、1年生存割合は44.8%だった。鎮痛効果はCRが40人(41.2%)、PRが44人(45.4%)で、疼痛緩和割合は86.6%(95%信頼区間78.2-92.7)だった。疼痛緩和持続期間中央値は16週(2-74)だった。鎮痛薬使用量を加味した鎮痛効果は、CRが33人(34.0%)、PRが37人(38.2%)、疼痛緩和割合は72.2%(95%信頼区間62.1-80.8)。疼痛緩和持続期間中央値は10週(2-55)だった。疼痛緩和率は欧米の複数の試験と同様な結果だった。

 急性放射線有害反応はグレード3の悪心が3人(3%)、グレード3の食欲不振が4人(4%)だけで、グレード4の有害反応はなかった。遅発性放射線有害反応は皮下組織にグレード1のものが1人見られただけだった。照射野内の病的骨折は10人(10%)、脊髄圧迫は1人に認められた。