進行食道癌に対する放射線化学療法は、現時点の成績からは、治療法の選択肢の一つには入るが、標準治療とは言えないことが確認された。ただし、放射線化学療法では臓器温存が可能であり、患者のQOLも高く維持できるため、治療方法の改良が進むことが期待される。

 これは、3月20日から21日に開催された日本臨床腫瘍学会のプレナリーセッションで発表されたもの。ステージII、IIIの進行食道癌を対象にした化学放射線療法の効果と安全性を多施設で検討したJCOG9906の結果だ。JCOG9906の結果は、大阪医科大学化学療法センターの瀧内比呂也氏が発表した。

 瀧内氏の発表によると、JCOG9906に患者データを登録したのは12施設。2000年4月〜2002年3月までに登録された76人を対象に、放射線化学療法の有効性と安全性を検討した。治療内容はシスプラチン(CDDP)と5-FUの併用による化学療法と、合計30Gyの放射線療法を並行して行ったもの。

 その結果、3年生存率は45%(95%信頼区間33%〜56%)、5年生存率は37%(95%信頼区間26%〜48%)となっていた。この結果について、瀧内氏は、良好な結果といえるが、外科的手術の成績(JCOG9907)と比べると若干成績が劣ると分析している。

 また、評価ができなかった2人を除いた74人で腫瘍の縮小効果を調べたところ、46人で完全寛解(CR)となっていた。完全寛解率は62.2%(95%信頼区間50.1%〜73.2%)。3年間再発せずに生存している割合(3年無増悪生存率)は33%(95%信頼区間23〜44%)、5年間再発せずに生存している割合(5年無増悪生存率)は26%(95%信頼区間18〜36%)であった。

 一方、有害事象として、治療終了後の経過観察中に晩期障害が否定できない死亡例が少なくとも4人認められていた。また、治療直後に生じる有害事象としても、グレード3以上の食道炎/嚥下痛、悪心、血液毒性も見られていた。そのため、瀧内氏らは、現在、放射線治療の方法をさらに工夫し、有害事象の発生を抑えることを検討しているという。

 同発表のコメンテーターを務めた愛知県がんセンター中央病院薬物療法科の室圭氏は、「癌専門施設や食道癌手術を多く行っている医療機関における外科手術の成績は、今回発表された放射線化学療法の成績よりも良好である。そのため、日本における現在の進行食道癌の標準治療は、術前化学療法+手術であり、放射線化学療法は、治療選択肢の1つという位置づけ」と語った。

 ただし、食道を温存できる放射線化学療法は、患者にとって治療後の生活の質(QOL)が良いため、今後、より良好な結果を求めて放射線化学療法のさらなる改良を行っていくべきとの考えを示した。