3月20日から福岡市で開催された日本臨床腫瘍学会で、聖路加国際病院乳腺外科濱岡剛氏は、進行再発乳癌の一次および二次化学療法で経口5-FU系抗癌剤のカペシタビンを使用した場合の成績について発表した。少数例の検討ながらその有用性を示唆する結果となった。

 進行再発乳癌の初期治療はアントラサイクリン系およびタキサン系が推奨されているが、これらの薬剤においてはQOLの低下を来す可能性も少なくない。そこで、治癒を目指すのではなく、QOLを維持しながら癌と共存していくというスタンスでファーストラインにカペシタピンを使用した研究が行われた。

 対象は、2006年8月から2007年2月までに進行再発乳癌でファーストライン、セカンドライン療法としてカペシタピンを使用した7人。カペシタピンをファーストラインで使用した結果とサードラインで投与を行った過去の試験結果、ファーストラインで使用した過去の試験結果を比較した。奏効率(RR)、無増悪生存(PFS)、全生存(OS)についてレトロスペクティブに検証した。

 患者の平均年齢は46歳で、初診時にステージ4期の症例は4人。手術を行ったケースにおける平均無病遠隔再発期間は4年で、2008年2月現在の死亡例は2人、治療継続症例は3人だった。カペシタピンをファーストライン、セカンドラインとして利用した場合のRRは42.8%でPFSは13.3カ月、OSは20カ月だった。また、グレード3以上の有害事象は手足症候群の1人のみでQOLが認容できる結果だった。

 過去に行われた研究結果では、アントラサイクリン系、タキサン系あるいは両群の薬剤が効かず、サードライン以降でカペシタピンを使用した場合の成績はRR15%から26%でPFSが3.2カ月から8.1カ月、OSは10.1カ月カ月から15.2カ月。一方、転移再発後、ファーストラインで使用した場合のRRは30%から46%でPFSは4.1カ月から6.7か月、OSは19.6カ月から28.6か月だった。

 これらの結果から、転移再発においてファーストライン、セカンドラインでのカペシタピンの使用は、サードライン以降での使用と比較して優れている可能性が示された。また、ファーストラインで使用した場合の過去の結果と同等の結果が得られた。

 発表を行った同院乳腺外科の濱岡剛氏は、今後の課題は生存率を含めた前向き試験で非劣性の証明をすることだと話している。