日本人の進行性腎細胞癌患者を対象にしたソラフェニブ単剤によるフェーズII試験において、膵酵素の上昇が多くで認められたが、その大部分は一過性かつ無症候性で投与の継続が可能なことが明らかとなった。3月20日から福岡市内で開催された日本臨床腫瘍学会学術集会のプレナリーセッションで筑波大学大学院の兵頭一之介氏によって発表された。

 対象は進行性腎細胞癌患者131人。サイトカイン療法による治療歴を持つ転移性腎細胞癌患者にソラフェニブ400mgを1日2回投与し、有効性および安全性を検討した。

 water-fall plotでは80.5%にあたる103人で腫瘍増殖抑制効果がみられ、客観的奏効率(ORR)は15%だった。

 一方、有害事象は手足皮膚疾患や高血圧の他、膵酵素であるリパーゼ、アミラーゼの上昇が顕著に見られた。全グレードにおける膵酵素の上昇は、リパーゼ(L)が73人(55.7%)でアミラーゼ(A)が50人(38.2%)、グレード3ではLが32人(24.4%)でAが7人(5.3%)、グレード4はLが8人(6.1%)でAが0人だった。

 膵酵素の発現上昇は、ほとんどが投与から3週間以内にみられ、1カ月から2カ月で自然に減少した。また、131人中、休薬や減量の対象となったのは3人(2.3%)で薬物治療症例は2人(1.5%)のみだった。

 膵酵素の異常が認められても投与は継続可能だが、注意深い観察が必要であることが示された。

 発表に当たった兵頭氏は、今後の課題について、膵酵素が上昇するメカニズムを解明するため、動物を使った基礎実験を予定していると述べている。