進行再発結腸・直腸癌を対象としたベバシズマブの安全性試験の結果、安全性に大きな問題はなく、海外試験の結果と比べ日本人に特徴的な有害事象は見られないことが明らかになった。しかし承認後の全例調査からは不適切な使用も一部に見られたという。Bevacizumab安全性確認試験共同研究グループが、3月20日から福岡市で開催された第6回日本臨床腫瘍学会学術総会のプレナリーセッションで発表した。

 ベバシズマブ(商品名アバスチン)は2005年7月に行われた未承認薬使用問題検討会議において、国内のフェーズI臨床試験の結果と海外の臨床成績を基に早期申請が要請されたが、それと並行して、ベバシズマブとFOLFOX4療法(5-FU+アイソボリン+オキサリプラチン)の併用における安全性確認試験の実施も求められていた。

 安全性確認試験は、進行再発結腸・直腸癌で、PSは0〜1、74歳以下を対象に、初回治療例には2週間ごとにベバシズマブを5mg/kg、二次治療以降例には10mg/kgを投与し、病勢の進行(PD)まで継続した。

 この結果、5mg/kg投与群(初回治療)38人の年齢中央値は58.0歳、10mg/kg投与群(二次治療以降)26人は59.5歳だった。投与サイクル数は中央値でそれぞれ13.5、9.0、relative dose intensityの中央値は0.785、0.680と5mg/kg投与群のほうが高かった。累積投与量の中央値は3884.0mg、4534.5mgだった。

 グレード3以上の有害事象は、5mg/kg投与群で92.1%に、10mg/kg投与群で96.2%に見られた。好中球数減少がそれぞれの群で81.6%、92.3%、白血球数減少が28.9%、42.3%と、血液毒性で頻度が高い傾向があった。ベバシズマブに特徴的な有害事象である高血圧は、重篤例が5mg/kg投与群では38人中2人、10mg/kg投与群では26人中6人だったが、当日報告した東北大学の加藤俊介氏によれば、「治療薬でコントロール可能だった」という。

 このほか5mg/kg投与群では、試験終了後の発症を含めると、消化管穿孔が3人、動脈血栓症が1人、静脈血栓症が1人に、10mg/kg投与群では蛋白尿が1人に見られた。

 有効性については、5mg/kg投与群では、RECISTに基づく効果判定が可能だった34人中PRは27人、SDが7人、10mg/kg投与群では23人中PRは11人、SDが12人だった。奏効率はそれぞれ79.4%(95%信頼区間62.1-91.3%)、47.8%(同26.8-69.4%)と高かった。これについて加藤氏は「奏効率は自施設の評価のため、高い傾向があるのではないか」と述べた。またPFSは5mg/kg投与群(38人)は13.6カ月、10mg/kg投与群は9.7カ月だった。

 本プレナリーセッションのコメンテーターとして登壇した国立がんセンター東病院の土井俊彦氏は、ベバシズマブに特徴的な有害事象の結果は、これまで報告された海外での発現率と比べ、「日本において悪い成績は出ておらず、特定の事象に対して危険とはいえないだろう」という程度であり、安全性が保証されたとは言い難く、「歯切れの悪い」結果になっていると解説した。

 このため、ベバシズマブは、2000人以上に対する全例調査(特定使用成績調査)を行うことを条件に2007年4月に承認されている。土井氏によると、登録症例の中には、投与直前のPSや臨床検査値が悪化している症例や、手術やポート設置から間もない症例など、不適切な使用と考えられるケースもあったという。不適切な使用で薬の価値を下げないためにも、「正しく使える臨床腫瘍内科医の育成を望む」とコメントした。