高齢者の肺腺癌において、初回治療としてのゲフィチニブの投与は、標準治療とほぼ同等の有用性であることが、フェーズII臨床試験「WJTOG 0402-DI」で確認された。近畿大学医学部堺病院呼吸器科のすぎ浦孝宗氏らが、3月20日から福岡市で開催された第6回日本臨床腫瘍学会学術総会のポスターディスカッションで発表した。

 試験は、70歳以上の肺腺癌患者(3b〜4期)で、PSは0〜2、化学療法の未施行例を対象に、ゲフィチニブ250mg/日を増悪するまで連日経口投与した。条件を満たした30人(うち女性が16人)の平均年齢は78.5歳、このうち非喫煙者は14人だった。

 治療期間0.4〜29.9カ月(中央値は1.6カ月)において、奏効率は20%(95%信頼区間 7.7-38.6%)、病勢コントロール率は46.7%(同 28.3-65.7%)だった。また全生存期間の中央値は11.9カ月(同 7.8-16.0カ月)であり、1年生存率は48%、無増悪生存期間の中央値は2.7カ月(同 0-5.7カ月)となった。

 これらの結果は、高齢者の肺腺癌の標準的治療となっているビノレルビンやドセタキセルの治療成績とほぼ同等の結果といえる。

 さらに、女性かつ非喫煙者(13人)に限定すると、奏効率は46.2%(同 19.2-74.9%)、病勢コントロール率は61.5%(同 31.6-86.1%)、全生存期間中央値は15.1カ月(同11.3-18.8カ月)、1年生存率は62%、無増悪生存期間の中央値は10.5カ月(同3.6-17.4カ月)と良好な治療成績を示した。

 また、グレード3以上の有害事象は、発疹が7%、食欲不振も7%、下痢、悪心、全身倦怠感がそれぞれ3%で、急性心筋梗塞も3%に認められた。いずれも「軽度であり、耐用可能である」としている。このように高齢者において、ゲフィチニブの有効性が認められ、また毒性も少ないことから、研究グループは「初回治療としてゲフィチニブの単剤療法は有効である」と結論づけている。

 ただし当初、この試験では期待奏効率を30%に設定していたが、それには達していない。ゲフィチニブは、女性、腺癌、非喫煙者、EGFR変異のある例で有効性が高いことが報告されている。「腺癌という括りだけでは、標準治療を超える有効性は示せなかった。今後EGFR変異の検出を検討していきたい」とすぎ浦氏は語った。