乳癌術後トラスツズマブ療法が安全で有効であることが、わが国の一般臨床でも明らかとなった。2000年4月から2007年8月までに術後トラスツズマブ療法48例を施行した結果のレトロスペクティブ解析で示されたもの。この結果は3月20日から21日に福岡市で開催された第6回日本臨床腫瘍学会学術集会で国立がんセンター東病院化学療法科の石原幹也氏によって発表された。

 対象となったのは治癒的切除を受けた乳癌患者でHER2が3+またはFISHで陽性となった患者48例。このうち13例はトラスツズマブの術後薬物療法の有効性を示した世界規模の臨床試験であるHERA試験に参加していた。年齢の中央値は54歳(35-72歳)で観察期間中央値は21.2カ月(2.1-49.5カ月)。病期は1期が9例(19%)、2期が33例(69%)、3期が6例(13%)だった。リンパ節転移数は0個が12例(25%)、1から3個が8例(17%)、4個以上が7例(15%)、不明が1例(2%)で、術前化学療法を受けたのが20例(40%)だった。トラスツズマブ開始時併用薬は、トラスツズマブ単独で開始した例が44例(92%)、タキサン併用で開始した例が4例(8%)だった。

 トラスツズマブ投与期間は1年投与群が42例(88%)で継続中が5例(10%)、完遂が25例(52%)、中止が8例(17%)、不明が4例(8%)。2年投与群は6例(13%)で、完遂が5例(10%)、中止は1例(2%)だった。

 投与の結果、再発は2例(4%)で死亡は2例(4%)だった。死亡は現病死が1例で脳出血が1例だった。無病生存率(DFS)は12カ月が97.5%、24カ月が92.9%とHERA試験の結果と遜色のないよい結果だった。

 トラズツズマブの有害事象の1つとして心毒性があるが、トラスツズマブ休薬・中止例で心関連事象は5例にとどまり、しかも心機能の指標であるEFが低下したのは2例のみだった。研究グループは、わが国の結果でも心臓に関連する副作用は少なく、乳癌術後トラスツズマブ療法が安全であることを示したとしている。