男女共同参画ワーキンググループ長を務める琉球大学の大屋祐輔氏

 会員の20%、座長と専門医は10%、プログラム選考委員および評議員は5%、学会発表者は20%をキープしたい――。これは、男女共同参画ワーキンググループ長を務める琉球大学の大屋祐輔氏が、「私的提案」という形で日本高血圧学会が目指すべき短期目標を示したものだ。それぞれに占める女性医師の割合について具体的な目標値を示したもので、学会の取り組みが加速することを願っての提案だった。10月26日まで大阪で開かれていた日本高血圧学会の男女共同参画「高血圧診療における男女共同参画を考える」において披歴した。

 講演の冒頭、大屋氏は「女性医師がどういう状況下で臨床や研究に携わっているのかをよく理解することが、男女共同参画を進めるうえでの大前提」と指摘。日本高血圧学会としても、現状把握を継続し、そこから問題点を抽出して、解決のための対策を具体化していかなければならないと訴えた。

 日本高血圧学会では、会員(約4500人)の13%が女性医師で、内科学会関連の学会においては13学会中、下から数えて4番目の少なさとなっている(日本外科学会女性外科医支援委員会、2008年調査)。最も多い小児科学会の33%には遠く及ばないのが現状だ。加えて専門医では8%、評議員においては2%と極めて少ない。

 大屋氏は、学会内に男女共同参画委員会を設立して以降、成果を挙げている日本腎臓学会(約8200人)の活動を紹介。腎臓学会は、2006年に男女共同参画委員会を設置。それ以降、委員会が中心となって、学会総会や地方部会において委員会企画、ブース設置、保育所の常設などに取り組んだ。専門医取得時の経験年数でも提言し、「勤務日数により考慮する」という規約変更を実現した。また、学会ホームページに委員会コーナーを開設し、男女共同参画に関する情報提供を充実させる一方、腎臓学会への参加を促すパンフレットを作成するなど、広報活動も展開している。こうした取り組みが功を奏し、腎臓学会では委員会設立時の2006年に女性医師の割合が会員の18.8%、専門医の13.9%、評議員の2.8%だったものが、設立から3年後の2009年にはそれぞれ21.3%、15.9%、3.6%と向上した。

 では、日本高血圧学会は何をすべきなのか――。大屋氏によると、ワーキンググループとしては(1)男女共同参画委員会設置を学会理事会に求める、(2)男女共同参画に関するニーズ調査、アンケート調査を実施する、(3)女性医師の専門医取得支援策を専門医制度委員会カリキュラム小委員会で検討する、などを目標に掲げ活動している。この中で、すでに実を結んでいるものもある。たとえば専門医の更新については、「出産、育児、長期の病気療養や研究のための海外留学など、やむを得ない事情の場合は、それを証明する書類を添付して保留期間の延長を申請することができる」などという補足規定の実現に至っている。

 大屋氏はワーキンググループが掲げる目標を実現するために、「私的提案」という形で日本高血圧学会が目指すべき短期目標を提示した。それが「会員の20%、座長と専門医では10%、プログラム選考委員および評議員は5%、学会発表者は20%をキープ」だった。目標を達成するための具体案も例示。たとえば、高血圧学会全会員を対象とした男女共同参画の実態調査アンケートの実施、学会期間中の臨時保育所の確保、学会期間中の女性医師支援の相談コーナーの運営、女性医師のライフステージに応じた受け入れが可能な病院データベースの構築とホームページでの公表、出産後の再履修の教育的支援、専門医資格の更新の猶予、などが検討課題であるとした。

 講演で示された数値はあくまでも私案であるが、ワーキンググループとしても今後、この大屋私案を軸に具体的な対策に乗り出すことになりそうだ。