久留米大学心臓・血管内科の福田賢治氏

 非心原性脳梗塞患者では、脳梗塞発症後の亜急性期に日間血圧変動が大きいことが、短期的にも長期的にも予後不良の独立した予見因子となることが明らかになった。心原性脳塞栓症患者では、日間血圧変動の増大と予後の間に関連はみられなかった。10月26日まで大阪で開催された日本高血圧学会(JSH2013)で、久留米大学心臓・血管内科の福田賢治氏が発表した。

 福田氏らはこれまでの検討で、脳梗塞患者の亜急性期における日間血圧変動の増大が予後不良に関連することを示しているが、病型による差異は明らかでない。このため今回、脳梗塞患者を非心原性脳梗塞と心原性脳塞栓症に分け、日間血圧変動と短期・長期予後との関連を病型別に検討した。

 対象は、多施設共同研究FSR(Fukuoka Stroke Registry)に2007年6月から2011年2月に登録された脳卒中患者4591人のうち、発症24時間以内に入院した初発患者で、発症前のADLが自立しており、かつ15日間以上入院した1140例とした。

 血圧値としては入院11〜20日目の朝10時の1日1回測定値を用い、収縮期血圧について患者ごとに平均血圧、標準偏差、変動係数(CV;標準偏差/平均血圧)を算出した。

 予後評価は、脳卒中後の機能障害の指標であるmodified Rankin Scale(mRS)が発症3カ月後に3以上であれば短期機能予後不良とし、全死亡または脳卒中再発を長期予後不良とした。観察期間中央値は381日だった。

 解析対象となった心原性脳塞栓症患者(338人)の平均年齢は74.8±9.9歳、非心原性脳梗塞患者(797人)は69.4±12.5歳だった。

 患者ごとの平均血圧は非心原性脳梗塞群が心原性脳塞栓群よりも有意に高かった(P<0.001)。標準偏差には差を認めず、CVは非心原性脳梗塞群の方が低かった(P=0.017)。

 短期機能予後不良と血圧変動(標準偏差、CV)の関連については、年齢・性別のみを調整した場合には、心原性・非心原性ともに、血圧変動が大きいことが有意な短期機能予後不良の関連因子として検出された(それぞれP=0.002、P<0.001)。

 ただし、入院時重症度、各危険因子、BMIなどを加えた15項目で調整したモデル、さらに平均血圧を調整因子に加えたモデルでは、非心原性脳梗塞でのみ、血圧変動が有意な関連因子となった(それぞれP=0.003、P=0.015)。

 血圧の標準偏差を四分位ごとに分けて短期機能予後不良リスクを評価したところ、非心原性脳梗塞では、血圧変動幅が大きくなるほどリスクが高くなる傾向がみられた(傾向に関するP=0.021)。心原性脳塞栓症ではそのような傾向はみられなかった。CVについても同様の結果だった。

 一方、長期予後不良と血圧変動の関連については、年齢・性別のみの調整、15項目で調整したモデル、平均血圧を調整因子に加えたモデルのいずれにおいても、非心原性脳梗塞のみで、血圧変動(標準偏差、CV)が大きいことが有意な長期予後不良の関連因子として検出された(それぞれP<0.001、P=0.003、P<0.001)。心原性脳塞栓症ではいずれの調整でも有意な関連因子は認められなかった。

 標準偏差を四分位ごとに分けて長期予後不良リスクを評価した場合も、非心原性脳梗塞でのみ、血圧変動幅が大きくなるほどリスクが高まる傾向がみられ(傾向に関するP<0.001)、心原性脳塞栓症ではそのような傾向は認められなかった。CVも同様の結果だった。

 さらに、非心原性脳梗塞をアテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、分類不能の3病型に分けて標準偏差の四分位ごとの予後不良リスクを評価した検討では、いずれの病型においても、血圧変動幅が大きいほど、短期機能予後、長期予後ともに予後不良となるリスクが高くなる有意な傾向が認められた。

 以上の結果から、福田氏は「日間血圧変動の増大は、非心原性脳梗塞例において、短期および長期予後不良の独立した予見因子となる」と結論した。

 なお、病型による違いがみられた原因について、福田氏は、動脈硬化を基盤とする非心原性脳梗塞では、血圧変動を生み出す動脈硬化・交感神経に関係する因子が、既存の増悪因子として働いている可能性があると推測している。