東北大学大学院薬学研究科教授の今井潤氏

 2014年4月の公開が予定されている「高血圧治療ガイドライン2014」(JSH2014)では、診療室血圧と家庭血圧に差がある場合には、家庭血圧による高血圧診断を優先させることになった。第36回日本高血圧学会総会の特別企画「高血圧治療ガイドラインJSH2014概要」で、東北大学大学院薬学研究科教授の今井潤氏が説明した。

 家庭血圧の重要性は、これまでも指摘されてきたが、JSH2009ではその臨床的位置づけが懸案事項の1つとされていた。今井氏は、家庭血圧の予後予測能をはじめとする臨床的価値が、診療室血圧より高いことを実証したわが国のエビデンスが蓄積されていること、さらにわが国では高血圧患者の77%は血圧計を保有し測定しており、家庭血圧測定が普及していることなどを紹介。JSH2014では、家庭血圧をより高く評価する方針であると説明した。

 そして、現在とりまとめの最終段階に入っているJSH2014の原案には、「診察室血圧と家庭血圧の両者に隔差がある場合、家庭血圧による高血圧診断を優先する」と示した。欧米のガイドラインで、家庭血圧の診断能力を診察室血圧よりも高く評価している例はなく、この点では日本のJSH2014が世界をリードする形になる。

 家庭血圧の測定方法についても、JSH2014では、より詳しく記載される。これまで、家庭血圧の1機会の測定回数は「1回以上(1〜3回)」と幅を持たせた形で記載されていたが、JSH2014では「1機会、原則2回の測定とし、その平均をその機会の血圧値として用いる」と明記。多くの場合、1機会における初回の測定値はそれに続く測定値よりも高く、複数回測定する患者が多いことによるという。加えて「1回のみの測定の場合には、1回のみの血圧値を、3回測定した場合には3回の平均を用いることも可」と付記している。

 また測定のタイミングについても、これまでは「朝、晩」という表記だったが、これを「朝、晩(就寝前)」とより明確に示す。朝の測定にについても、「起床後1時間以内」「排尿後」「朝の服薬前」「朝食前」と細かに規定している。

 なお血圧値の分類についても、一部表現を変更する。JSH2009では「正常血圧」と「高血圧」に大きく分類した上で、正常血圧を「至適血圧」「正常血圧」「正常高値血圧」に分類していたが、結果的に「正常血圧」という分類が2種類混在した状態になっていた。JSH2014ではこれを改め、広義の正常血圧を「正常域血圧」に変更する。