新小山市民病院院長の島田和幸氏

 日本高血圧学会が来年4月の公開を予定している「高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)」では、高血圧に対する第一選択薬は、Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬の4種類となることが固まった。JSH2009で第一選択薬の1つに位置づけられていたβ遮断薬は、主として心疾患合併高血圧に対して選択すべき薬剤とされ、第一選択薬からは除外される。10月24日から26日まで大阪で開かれた日本高血圧学会(JSH2013)の特別企画で、新小山市民病院院長の島田和幸氏が明らかにした。

 JSH2014では、第一選択薬を「積極的適応がない場合の高血圧に使用すべきもの」と定義。その観点から同学会のガイドライン作成委員会は、大規模臨床試験の成績やメタ解析の結果、海外の高血圧治療ガイドラインなどを基にβ遮断薬の位置づけを改めて検討した。

 β遮断薬は、第一選択薬に挙げられた他の4種類の降圧薬と同様に心血管病抑制効果が証明されているが、糖尿病惹起作用を有し、臓器障害・心血管病抑制効果が他の薬剤に劣るとのエビデンスが存在する。ただし、これらに対する解釈は一律ではなく、欧州高血圧学会(ESH)のガイドラインではβ遮断薬が第一選択薬の1つに位置づけられているほか、カナダ高血圧教育プログラム(CHEP)のガイドラインでは高齢者以外の第一選択薬の1つとされている。また、英国高血圧学会(BSH)のガイドラインのように、第一選択薬から除外している例もある。

 そのためJSH2014では、メタ解析を含めた大規模臨床試験の成績や、中心血圧低下効果の減弱、日本人を対象にした大規模臨床試験であるCOPE試験の結果などから総合的に判断し、β遮断薬を第一選択薬から外すことにした。この点について島田氏は、「β遮断薬が豊富なエビデンスを持つ主要な降圧薬であることに変わりはなく、特に心疾患合併患者には、しばしば積極的な適応となる」と補足した。

 なお、JSH2014の改訂に当たっては、ARBと利尿薬、ARBとCa拮抗薬といった近年増えている合剤(配合剤)を第一選択薬とすべきかどうかも検討課題に挙がっていた。しかし、「(第一選択薬としての使用が)保険診療上は認められていないし、最初から使うには用量調整も難しい」(島田氏)ことから、第一選択薬に位置づけることは見送ることとなった。

 また島田氏は、JSH2014における高血圧治療の進め方にも言及。積極的適応(合併症)のない高血圧には、(A)ARBまたはACE阻害薬、(C)Ca拮抗薬、(D)サイアザイド系利尿薬またはサイアザイド類似薬──のいずれかで治療を開始し、次のステップではA+C、A+D、C+Dのいずれかに進み、それでも目標血圧に達しない場合にA+C+Dとする薬剤の使い方を提示した。さらに、A+C+Dでも血圧コントロール不良の治療抵抗性高血圧に対しては、A+C+D+β遮断薬またはα遮断薬、抗アルドステロン薬、さらに他の種類の降圧薬を併用するという手順を紹介し、講演を締めくくった。