埼玉医科大学の鈴木洋通氏

 最終案の段階にある日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)において、授乳期での使用が可能と考えられる降圧薬を提示することが示された。10月26日まで大阪で開催されていた総会で、埼玉医科大学の鈴木洋通氏が「女性の章」を解説する中で言及した。

 授乳期の降圧薬選択については、現在のガイドラインJHS2009の懸案事項の1つだった。鈴木氏によると、JSH2014では「授乳が可能と考えられる降圧薬」として提示される。具体的には、Ca拮抗薬のニフェジピン(アダラート)、ニカルジピン塩酸塩(ペルジピン)、アムロジピンベシル塩酸(ノルバスク、アムロジン)、ジルチアゼム塩酸塩(ヘルベッサー)が、αβ遮断薬のラベタロール(トランデート)、β遮断薬のプロプラノロール塩酸塩(インデラル)、中枢作動薬のメチルドパ(アルドメット)、血管拡張薬のヒドララジン(アプレゾリン)、ACE阻害薬のカプトプリル(カプトリル)、エナラプリルマレイン塩酸(レニベース)が明記される予定だ。

 特徴の1つは、米国立衛生研究所の指針LactMedも参考として提示する点で、同時に相対授乳摂取量(RID)も示すことになっている。さらに妊娠と薬情報センター(厚生労働省事業、国立成育医療研究センター)のホームページ(http://www.ncchd.go.jp/kusuri/)を明記し、より詳しい情報を得るための相談窓口として紹介する。また、出産後の薬物治療に関しては「小児科医師と連携をとることが求められる」と結ぶ方針だ。

 鈴木氏は「女性の章」の特色として、「他の学会のガイドラインと基本的な点で一致したガイドライン」とした点を挙げた。その実現のために、日本腎臓学会の妊娠と腎関連ガイドライン作成委員長、日本妊娠高血圧学会の妊娠高血圧ガイドライン委員、さらに日本産科婦人科学会のガイドライン委員らと議論を交わした点を強調した。

 女性の章は「妊娠・出産に関連した高血圧」と「更年期女性の高血圧」の2つで構成。「妊娠・出産に関連した高血圧」では、妊娠20週未満でメチルドパ、ヒドララジン、ラベタロールを第一選択薬として提示、20週以降ではこの3剤にニフェジピンを加えた4剤を第一選択薬として提示する。

 「更年期女性の高血圧」では、更年期の血圧上昇の機序、妊娠高血圧症候群との関連について解説する。その上で、更年期女性の診療においても母子手帳が重要であることを再確認し、「高血圧の女性を診察する際には母子手帳を参考にする」ことを推奨する案となっている。