今後の活動方針などが報告された総会

 日本高血圧学会(堀内正嗣理事長)は10月25日午後に開かれた総会において、不正論文問題で浮上した臨床研究の課題に取り組む専門委員会を設置することを発表した。同時に、学会主導による臨床研究の実施、ならびに臨床試験に関する教育の充実に取り組む方針も明らかにした。

 不正論文の発覚で臨床研究への信頼が揺らいでいる中、はからずも発信源となってしまった日本高血圧学会としては、自らが襟を正し、再発防止へ向けた取り組みを加速させる必要に迫られていた。今回示した3つの対策は、再発防止策を集約したものとなる。立ち上げる委員会は「臨床試験のあり方委員会」(仮)で、再発防止策の中核として位置づけられる。委員構成や責任者などの情報は示されなかったが、個々の臨床試験の透明性、実施能力などについて審議することを目的とするという。

 また、2番目の柱である学会主導による臨床研究の実施については、学会の学術委員会の中に学会主導臨床試験研究ワーキンググループ(代表;楽木宏実氏・大阪大学大学院 医学系研究科)を設置し、わが国において必要な臨床試験に取り組む方針だ。

 最後の臨床試験に関する教育の充実については、臨床試験の実施能力あるいは解析能力を高めるために、学会としての教育プログラムを展開するものだ。学会総会や臨床高血圧フォーラムなどの機会をとらえて教育講演やシンポジウムを開催することが視野に入っている。専門医制度との関連付けも検討されており、臨床試験の実施能力などを専門医認定条件とする方向にある。

 今回の対策に先立ち、日本高血圧学会は10月9日、厚生労働省の「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」がまとめた「高血圧症治療薬の臨床研究事案を踏まえた対応及び再発防止策について(中間とりまとめ案)」(2013年9月30日)に対する学会の見解を公表している。冒頭で、日本高血圧学会として「中間とりまとめ案の内容を真摯に受け止め、問題の再発防止に積極的に取り組む」と表明。その上で、中間まとめで学会が検証すべきと指摘されたガイドラインに関連論文(具体的にはJikei Heart Study)を引用した経緯と利益相反関係について学会の考え方を示している。それによると、複数の委員による評価を経ていたことや作成過程の透明性が十分担保されていたことなどから、ガイドライン(JSH2009)作成において、利益相反上の問題は特になかったとし適正な対応だったと結論している。

■参考資料
「高血圧症治療薬の臨床研究事案を踏まえた対応及び再発防止策について(中間とりまとめ案)」(平成25年9月30日)をうけた日本高血圧学会の見解