兵庫医科大学循環器内科・臨床検査医学の正木充氏

 L/N型Ca拮抗薬であるシルニジピンは抗炎症作用抗線維化作用を介し左室拡張機能障害を改善させることが、L型Ca拮抗薬であるアムロジピンと比較した動物実験から既に報告されている。また、高血圧患者において、シルニジピンはNO産生の亢進により、酸化ストレスに反応し上昇している血清尿酸値を低下させるといわれている。さらに今回、シルニジピンは酸化ストレスの抑制に伴い、未治療高血圧患者の左室拡張能を改善させる可能性が示された。兵庫医科大学循環器内科・臨床検査医学の正木充氏らが、10月24日に大阪で開幕した日本高血圧学会(JSH2013)で発表した。

 検討対象は未治療の高血圧患者52例。これらの患者をアムロジピン投与群(26例)とシルニジピン投与群(26例)に無作為に割り付け、目標血圧は140/90mmHgに設定した。

 治療前と治療開始48週後で比較すると、収縮期血圧はアムロジピン群が165mmHgから132mmHgに、シルニジピン群が161mmHgから139mmHgに、いずれも有意に低下した(それぞれP<0.001、P<0.05)。拡張期血圧も順に94mmHgから81mmHgに、90mmHgから76mmHgに、両群とも有意に低下した(それぞれP<0.001、P<0.05)。

 それに対し、血清尿酸値は順に5.3mg/dLから5.6mg/dL、5.9mg/dLから5.4mg/dLで、アムロジピン群は有意ではないものの増加し、シルニジピン群は有意に減少していた(P<0.05)。

 左室拡張能の指標として、経胸壁心エコー検査により左房容積係数(LAVI)を測定したところ、アムロジピン群では有意な変化がなかったが、シルニジピン群では有意な減少が認められた。また、左室流入波形速度(E)を拡張早期僧帽弁輪移動速度(E’)で割ったE/E’を求めたところ、アムロジピン群では有意に変化しなかったが、シルニジピン群では有意に低下していた。

 治療前後の変化率を見ると、血清尿酸値はアムロジピン群が12%、シルニジピン群が−2%、LAVIは23%、−9%、E/E’は13%、−7%と、いずれの指標もシルニジピン群では改善しており、両群間に有意差が認められた(それぞれP<0.05、P<0.01、P<0.01)。

 さらに、治療前後における血清尿酸値の変化率とLAVIの変化率は有意な正の相関を示した(r=0.46、P<0.01)。血清尿酸値の変化率とE/E’の変化率の間にも、有意な正相関が認められた(r=0.36、P<0.05)。

 以上の結果から正木氏は、「シルニジピンは血清尿酸値の低下、いわゆる酸化ストレスの抑制に伴い、高血圧患者の左室拡張能を改善することが示唆された」と語った。