坂出市立病院の大工原裕之氏

 実臨床における2型糖尿病合併高血圧患者224例の検討で、ARB通常用量のオルメサルタンテルミサルタンと比較して、診察室血圧および早朝家庭血圧において降圧力が優れていることが示された。特に早朝家庭血圧における高血圧治療ガイドライン2009の降圧目標達成率は、オルメサルタンに切り替えた群で約17ポイント上昇したのに対し、テルミサルタンに切り替えた群は約18ポイントの減少だった。坂出市立病院の大工原裕之氏が、10月24日に大阪で開幕した日本高血圧学会(JSH2013)で発表した。

 大久原氏は、基礎研究の結果から、ARBの中でもテルミサルタンがPPARγ活性化作用を有しており、糖・脂質代謝において有用性があることが示されてきたが、実臨床における有用性の成績が少ないことから今回の検討を行った。

 対象は糖尿病で外来通院中の患者で、16週以上ARB投与を受けた2型糖尿病患者の224例。オルメサルタン20mgの投与を16週以上受けていた症例でテルミサルタン40mgに切り替えた110例(TE群)と、テルミサルタン40mgの投与を16週以上受けていた症例でオルメサルタン20mgに切り替えた114例(OL群)について、切り替えから24週間後までの効果を比較検討した。

 評価項目は、診察室血圧、早朝家庭血圧、早朝家庭心拍数、糖や脂質代謝の血液検査、腹部CTによる内臓脂肪面積、尿検査による尿中アルブミンなどだった。

 介入期間は原則として、ARB以外の併用阻害薬、糖尿病治療薬の種類(ピオグリタゾンおよびインスリン治療患者は対象外)、用量については変更せず投与を継続した。

 切り替え前の患者背景には、TE群、OL群の間で著しい違いはなかった。

 介入の結果、切り替え時と24週間後の収縮血圧の変化をみると、診察室収縮期血圧は両群とも高血圧治療ガイドラインJSH2009の収縮期降圧目標を下回っていたが、TE群は126.2mmHgから128.6mmHgへ有意に上昇(P<0.05)し、OL群は128.3mmHgから126.2mmHgへ有意に低下した(P<0.05)。 

 早朝家庭収縮期血圧においては、TE群が123.1mmHgから125.4mmHgへ有意に上昇(P<0.05)し、OL群では126.3mmHgから123.6mmHgへ有意に低下した(P<0.05)。TE群で24週後にJSH2009の降圧目標値を上回っていた。

 拡張期血圧においても同様の結果だった。診察室拡張期血圧は、TE群が78.2mmgHgから79.7mmHgへ有意に上昇した(P<0.05)。一方、OL群では79.1mmHgから77.7mmHgへ有意に低下した(P<0.05)。早朝家庭拡張期血圧は、TE群が73.2mmHgから75.6mmHgへ有意に上昇(P<0.05)し、OL群では76.2mmHgから74.6mmHgへ有意に低下した(P<0.05)。

 JSH2009の降圧目標値達成率をみると、診察室血圧ではTE群が73.4%から65.2%へ8.2ポイント減少し、OL群が65.8%から75.0%へ9.2ポイント増加した。早朝家庭血圧においてはより顕著で、TE群が66.0%から48.5%へ17.5ポイント減少したのに対し、OL群では46.1%から63.0%へ16.9ポイント増加した。

 このほか心拍数、空腹時血糖値、HbA1c、さらにeGFR、尿中アルブミンにおいては、両群とも切り替え時と24週後で変化はなかった。ただ、尿中アルブミン変化量でみると、TE群で12.3±5.0mg/gCrだったのに対し、OL群では−16.0±5.3mg/gCrとなり、OL群の方が有意に改善していた(P<0.001)。

 なお、HOMA-R、内臓脂肪面積、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、血清尿酸値、血清ナトリウム、血清カリウムなどの指標においては、両群において、切り替え時と24週後で変化はなかった。

 今回の結果から大工原氏は、ARBの中でテルミサルタンはPPARγ活性化作用を有し、基礎研究において代謝面への有用性が報告されてきたが、「実臨床でのオルメサルタンとの比較検討の結果、血糖値、HbA1c、脂質、HOMA-R、内臓脂肪面積などの指標では、明らかな有効性を見いだすことはできなかった」と結論した。