会長を務める国立循環器病研究センターの河野雄平氏

 日本高血圧学会の第36回総会が10月24日、大阪で開幕した。今大会のテーマは「高血圧研究と診療:最先端のその先へ」。会長を務める国立循環器病研究センターの河野雄平氏は開会のあいさつで「基礎研究に携わっている人は臨床の発表に、臨床に携わっている人は基礎分野の発表に触れてほしい」と言及。日本高血圧学会は発足当初から基礎と臨床の両方の研究があいまって成長してきたとし、今後もこの両輪で発展していくことへの期待を表明した。10月26日までの3日間で600件を超える演題発表が予定されており、約2500人が参加し、「最先端のその先へ」とつなげる議論が展開される。

 今大会の最大の目玉は、高血圧治療ガイドライン(JSH2014)の最終案が提示される点だ。3日目の26日午前に特別企画「高血圧治療ガイドラインJSH2014概要」として設定されている。すでに8月には原案を公開し、パブリックコメントも受付が終了。学会会員から寄せられた18項目、一般から22項目、さらにガイドラインの外部評価委員から12項目のコメントが寄せられた。今回の特別企画では、こうしたコメントをもとにした検討結果を含め、ガイドライン最終案が提示される。今大会での議論を踏まえて案を見直したうえで、最終的には2014年4月1日発行を目指している。

ガイドライン作成委員会委員長の島本和明氏(札幌医科大学)

 ガイドライン作成委員会委員長の島本和明氏(札幌医科大学)によると、現在のガイドラインJHS2009の懸案事項だった(1)家庭血圧の評価方法、(2)配合薬の第一選択薬としての位置づけ、(3)授乳期の降圧薬選択、などが新たに盛り込まれる。また、JSH2009が抱えていた矛盾点を解消するほか、序章部分に作成法の詳細、推奨グレードを追記し、COIの記載、外部評価(AGREEII)、バルサルタン関連論文の扱いなどについても言及する方向だ。このほか、血圧分類(正常血圧と正常域血圧)、家庭血圧(24時間自由行動下血圧[ABPM]の優位性)、高血圧診断チャート(診察室血圧、家庭血圧、ABPMの位置づけ)、血圧変動性などの項目で変更あるいは追加が行われる見込み。なお、バルサルタン関連論文については、不正があったことが明らかな論文は採用しないという基本ルールにのっとり対応する。現在、それぞれの大学で調査が進んでいる臨床試験(Nagoya Heart Study、SMART)については、その結果次第で採否を決める。ただし、各大学の年内の結論が見通せていないことから、最終的にガイドラインに採用されない可能性が高い。なお、VARTは、主要評価項目に差がなかったことから採用論文の候補に上っていなかった。

 このほか特別企画として「減塩サミットin Osaka 2013」も行われる。また、不正論文問題を機に浮上した臨床試験の問題については、シンポジウム「日本における臨床試験のあるべき姿を考える」で議論を深める予定だ。

 台風の影響が懸念される中での開会となったが、24日午後2時現在、時折強い風が舞うほかは雨も降っておらず、今のところ交通機関などに大きな混乱は見られていない。ただし、台風の進路次第では天候の急変も予想されており、こまめな天気予報のチェックが欠かせない大会となっている。

大会会場の大阪国際会議場