帝京大学内科学講座の内田俊也氏

 Ca拮抗薬はL型Caチャネル遮断を介した血管拡張による降圧作用を有している。一方、N型Caチャネルも遮断するシルニジピンは腎糸球体輸出細動脈を拡張させることで、他のCa拮抗薬とは異なり、腎保護作用を有することが複数報告されている。今回、帝京大学内科学講座の内田俊也氏らは、慢性腎臓病(CKD)を合併した高血圧患者において投与中のアムロジピンをシルニジピンに切り替えると、尿中アルブミンが有意に減少したこと、また尿中尿酸/クレアチニン(Cr)比が0.5以上の患者では尿酸産生量の有意な低下が示唆されたことを、9月22日まで名古屋で開催されていた日本高血圧学会(JSH2012)で発表した。

 本研究はJ-CIRCLEスタディと名付けられ、対象はアムロジピンを3カ月間以上投与中で、尿中アルブミン/Cr比が30mg/gCr以上のCKD合併高血圧患者71人(平均年齢68.5歳、男性36人、女性35人)とした。投与中のアムロジピン(2.5mg、5mg、10mg)を降圧効果が等価になるようにシルニジピン(それぞれ5mg、10mg、20mg)に切り替え、切り替え直前および3カ月後の血圧値、尿中アルブミン/Cr比、血清尿酸値、尿中尿酸/Cr比、尿酸排泄率(FEUA)を測定した。なお、併用していたレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬は処方を特に変更しなかった。

 結果を見ると、血圧値は138.4/75.5mmHgから136.1/75.0mmHgへと有意な変化はなく、血清尿酸値、尿中尿酸/Cr比、FEUAなどでも有意な増減は認められなかった。それに対し、尿中アルブミン/Cr比(中央値)は113mg/gCrから96.3mg/gCrと、有意に低下した(P=0.0320)。

 次に、対象を尿中尿酸/Cr比で2群に層別したところ、同0.5以上の群(尿酸産生が過剰な群)では、尿中尿酸/Cr比は0.67g/gCrから0.56g/gCrに、またEFUAは8.50%から6.93%に、いずれも有意に低下した(順にP=0.0393、P=0.0128)。このことから、尿酸産生が過剰な例では、シルニジピンへの切り替えにより尿酸産生量が低下した可能性が示唆された。

 これまでに、未治療の軽症高血圧患者、2型糖尿病患者、CKD合併高血圧患者などでシルニジピンが血清尿酸値を低下させることが報告されている。血清尿酸値が低下する機序として、内田氏は、N型チャネル遮断を介した交感神経活性の抑制による骨格筋の血流量増加に伴って尿酸産生量が低下した可能性を挙げた。

 以上から内田氏は、「CKD合併高血圧患者においてアムロジピンをシルニジピンに切り替えたところ、血圧値は特に変化しなかったものの、尿酸アルブミンは有意に減少し、尿中尿酸/Cr比高値例では尿酸産生量が低下した可能性がある」と語った。さらに、「今後、無症候性高尿酸血症のCKD合併高血圧患者において、シルニジピンの作用をさらに検討する必要がある」と述べ、その研究準備を進めていることを明らかにした。

(日経メディカル別冊編集)