順天堂大学代謝内分泌内科学の三田智也氏

 糖尿病患者にとって、高血圧は心血管イベントや臓器障害の強力な危険因子であるため、より厳格な血圧管理が求められる。Ca拮抗薬は降圧作用に優れており、なかでもシルニジピンとアゼルニジピンは反射性の頻脈を来しにくいことに加え、輸出細動脈を拡張させることで抗蛋白尿作用があることも報告されている。そこで、順天堂大学代謝内分泌内科学の三田智也氏らは両薬の効果を比較し、同程度の降圧にもかかわらず、シルニジピンの方がアルブミン尿尿酸の改善において有意に優れていたことを、9月22日まで名古屋で開催されていた日本高血圧学会(JSH2012)で発表した。

 対象は、高血圧を合併し、アムロジピン5mgによる降圧治療を3カ月以上継続している2型糖尿病の外来患者23人。ただし、重度の腎・肝障害や顕性蛋白尿(尿中アルブミン300mg/gCr以上)を認める患者、心血管疾患や担癌の患者は除外とした。試験デザインは、まずアムロジピン5mgをシルニジピン10mg(12例)またはアゼルニジピン16mg(11例)に変更して12週間治療し、続いて両薬剤をクロスオーバーさせてさらに12週間治療を行うというもの。

 23例のうち4例は脱落したため、解析対象となった患者は19人(うち男性13人、年齢は63.7±6.9歳、体重は68.3±8.7kg、罹病期間は14.7±3.9年)だった。他の降圧薬については、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を12例が、その他の薬剤を4例が服用していた。

 24時間自由行動下血圧はシルニジピンとアゼルニジピンとの間に有意差は認められず、心拍数も同じく差は見られなかった。また、日中と夜間に分けた解析においても、いずれも有意な違いはなかった。さらに、BMIや外来血圧、HbA1c、クレアチニン値、各種脂質パラメータにおいても、有意な差は認められなかった。

 その一方、尿酸値はシルニジピンが5.59±1.23mg/dL、アゼルニジピンが5.89±1.47mg/dLと、両者の間には有意な差が認められた(P<0.05)。尿中アルブミン排泄量(対数変換値)も、シルニジピンが8.60±9.9mg/mmoL、アゼルニジピンは12.3±17.3mg/mmoLと、有意差が確認された(P<0.05)。

 このように、高血圧を合併した2型糖尿病患者に対し、シルニジピンとアゼルニジピンの間に降圧作用や脈拍への影響では有意差がなく、糖・脂質代謝への影響にも違いは認められなかったが、シルニジピンは尿酸値や尿中アルブミン排泄量を有意に低下させることが示された。

 これを踏まえて三田氏は、「こうした独特な作用を持つL/N型Ca拮抗薬のシルニジピンは、高血圧合併2型糖尿病患者における腎症の進展抑制に効果的な可能性がある」との見解を示した。

(日経メディカル別冊編集)