共立女子大学家政学部食物栄養学科の青木沙織氏

 日本人における高食塩と高血圧の原因とされてきた味噌だが、味噌汁摂取は1日3杯程度であれば血圧値との間に一定の関係は見られないことが分かった。また、味噌汁摂取が1日2〜3回以上の群では、全ての栄養素で過栄養的な傾向が見られたため、総合的に見て味噌汁を1日1杯程度摂取する食習慣が栄養バランスに優れる可能性が示唆された。人間ドック受診者調査で明らかになった。共立女子大学家政学部食物栄養学科の青木沙織氏が、9月22日まで名古屋で開催された日本高血圧学会(JSH2012)で発表した。

 最近では、味噌の食塩含有量は10〜13%程度であり、味噌汁1杯で約1g程度となっている。今回青木氏らは、味噌汁摂取の現状および味噌と食塩摂取量などの食物嗜好性との関係、味噌の血圧への影響について、人間ドック受診者を対象として横断的調査を実施した。

 対象は、東京都教職員互助組合三楽病院での人間ドック受診者で、生活習慣病の指摘または治療が行われていない人の中から無作為に抽出した96人(平均年齢55歳)とした。聞き取り法による味噌汁摂取回数と食事嗜好性調査を実施し、関連性について調べた。5日間で味噌汁摂取回数が0〜2回だった人を1群、3〜5回だった人を2群、6〜15回だった人を3群に分類した。調査は、食物摂取頻度調査(FFQg ver3.0)を用いた。

 味噌汁摂取の現状として、平均味噌汁摂取は5日間当たり4.2回だった。ただし、1日当たりの摂取回数は約50%の対象者で0.75回、約90%で1.25回以下だった。これは、食塩含量が13%の味噌を1回8g使用した味噌汁の場合、1日で1.3gの食塩摂取に相当した。

 味噌汁摂取回数の多い群ほど、エネルギー摂取量が高く、1群に対し2群、3群ともに有意差を認めた(P<0.05)。タンパク摂取量、脂肪摂取量も摂取回数が多いほど増加しており、1群に比べ3群はどちらも有意に高かった(P<0.05)。一方、総摂取エネルギー量中の穀類エネルギー比は、味噌汁摂取回数が多い群ほど低く、1群に対し2群、3群ともに有意差を認めた(P<0.05)。

 飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の摂取量も、味噌汁摂取回数が高い群ほど増加した。飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸は、1群に比べ3群で有意差を認め、多価不飽和脂肪酸は1群に比べ2群と3群で有意差を認めた(いずれもP<0.05)。コレステロール摂取量にも同様の傾向があり、1群に対し3群で有意に高かった(P<0.05)。

 一方、味噌と食塩摂取など、食物嗜好性との関連を見たところ、食塩摂取量は、味噌汁の摂取回数が多いほど有意に多かった(P<0.05)。また、味噌汁摂取量が高い群ほど漬物や食卓醤油、ソース、梅干、佃煮の使用量が増加しており、いずれも1群に比べ3群で有意に多かった(P<0.05)。

 ただし、味噌汁摂取量と血圧、BMI、体脂肪、腹囲には一定の関係は認められなかった。

 これらの結果から青木氏は、「味噌汁摂取の現状は、多くが1日1杯以下だった。味噌汁摂取は1日3杯程度であれば血圧値との間に一定の関係は見られなかった。味噌汁摂取が1日2〜3回以上の群では、全ての栄養素で過栄養的な傾向が見られた」と結論。「1日1杯程度の味噌汁を摂取する食習慣は、栄養素的にバランスが良いと考えられる」と考察した。

(日経メディカル別冊編集)