香川大学循環器・腎臓・脳卒中内科の近藤直樹氏

 治療抵抗性高血圧患者にカテーテル焼灼術を行って腎神経を除神経すると、持続的な降圧効果が得られたと報告されるなど、最近、高血圧における交感神経活動の役割に注目が集まっている。香川大学循環器・腎臓・脳卒中内科の近藤直樹氏らは、覚醒かつ無拘束の状態で血圧や心拍数などを継続的に測定できるテレメトリー(遠隔測定)システムを用いて、L/N型Ca拮抗薬のシルニジピンが高血圧自然発症ラット(SHR)における腎交感神経活性の亢進を抑制したことを、9月22日まで名古屋で開催されていた日本高血圧学会(JSH2012)で発表した。

 テレメトリーシステムはウサギなどですでに使用されていたが、今回、近藤氏らはより小さな実験動物であるラットで腎交感神経活性の直接測定に成功した。血圧と心拍数は大腿動脈に挿入したカテーテルにより、また、腎交感神経活性は左腎・腎交感神経を剥離した後、双極性の電極の装着により測定。それらのデータは、皮下に埋め込まれた無線機で体外のコンピュータに転送、記録される仕組みになっている。

 本検討では、10匹のSHRにこれらを手術により埋め込んだ。その上で、術後2日目にシルニジピン(30mg/kg)、同3日目にL型Ca拮抗薬のニフェジピン(10mg/kg)、同4日目に再びシルニジピン(30mg/kg)をいずれも経口投与し、血圧、心拍数、腎交感神経活性を継続的に記録した。

 ベースラインからの血圧の変化率を見ると、2日目のシルニジピン投与では30分後が−12%、1時間後が−25%、6時間後が−16%、12時間後が−12%、3日目のニフェジピン投与では順に−23%、−28%、−21%、−14%、4日目のシルニジピン投与では順に−16%、−19%、−15%、−14%だった。両薬とも血圧を有意に低下させており、最大降圧幅も同程度であった。

 心拍数においてはベースラインからの増加率に有意差が見られ、シルニジピンの方が心拍数上昇は穏やかであった。また、腎交感神経活性の亢進に関しても、シルニジピンの方が6時間後まで有意に抑制していた。

 以上の結果を踏まえて近藤氏は、「覚醒状態の無拘束なSHRにおいて、降圧に伴う腎交感神経活性の亢進と心拍数の上昇はシルニジピンでより軽度であった」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)