滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門の宮川尚子氏

 「循環器病の予防に関する調査(NIPPON DATA2010)」の参加者を対象に、高血圧の原因となる生活習慣に関して認知度を調査した結果、高血圧診療ガイドライン上で高血圧の原因として記載されている項目のうち、「野菜・果物の不足」「お酒の飲み過ぎ」「運動不足」への認知度が低い実態が明らかになった。また、ガイドラインには記載されていないが、「睡眠不足」への認知度も低かった。滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門の宮川尚子氏は、年齢層によって認知度に差があったことから、「年齢層別に生活習慣改善に関するアプローチを行うことで、効果的・効率的な高血圧の予防や管理を実施できる可能性が示唆される」と報告した。9月20日から名古屋で開催中の日本高血圧学会(JSH2012)で発表した。

 宮川氏らは、2010年に国民健康・栄養調査と並行して行われた「循環器病の予防の関する調査(NIPPON DATA2010)」の参加者2898人(男性1239人、女性1659人)を対象に、高血圧の原因となる生活習慣に関する認知度について調査を行った。

 調査方法は自記式質問票調査とし、「高血圧の原因として正しいと思うもの」を全て選択するよう指示した。選択肢は、6つの正答(肥満、運動不足、塩分の摂り過ぎ、野菜や果物の不足、お酒の飲み過ぎ、睡眠不足)と3つのダミーを用意。選択肢ごとに、性別、年齢階級、地域別に認知度を比較した。地域は、国民健康・栄養調査の地域ブロックに準じ、1地域の人数が100人未満の場合は近隣地域と統合し、合計10地域で分析した。調査への応諾率は74.8%だった。

 調査の結果、高血圧の原因となる生活習慣に関する認知度は、「塩分の摂り過ぎ」が90.3%と最も高く、「肥満」(82.2%)、「運動不足」(68.0%)、「お酒の飲み過ぎ」(61.4%)、「野菜や果物の不足」(42.3%)、「睡眠不足」(41.1%)と続いた。

 年齢階層別に認知度を比較すると、「野菜や果物の不足」「お酒の飲み過ぎ」「睡眠不足」が高血圧の原因となる生活習慣だと回答した人の割合は若年者ほど少なく、40歳未満における認知度はそれぞれ37%、55%、27%と最も低かった。

 一方、「塩分の摂り過ぎ」「肥満」については、高齢者ほど認知度が低かった。「塩分の摂り過ぎ」が高血圧の原因であると考えている人の割合は、40歳未満が90%だったのに対し、80歳超では78%にとどまった。また「肥満」の認知度は、それぞれ85%、67%だった。

 また、60歳未満では「野菜や果物不足」に対する認知度が40%未満(37〜38%)、40歳未満では「お酒の飲み過ぎ」に関する認知度は55%で、ほかの年代と比べ最も低値だった。「睡眠不足」の認知度については、いずれの年代も50%未満で、40歳未満が27%と最も認知度が低かった。

 地域別に認知度を比べると、「塩分の摂り過ぎ」「肥満」については認知度に有意差が見られたが、各地域の認知度はそれぞれ90%前後(86〜94%)、80%前後(76〜86%)だった。

 宮川氏は、認知度が年齢層により差があったことから、年齢層別に生活習慣改善に関するアプローチを行うことで、効果的・効率的な高血圧の予防や管理を実施できる可能性があると指摘。また、若年者において、「野菜や果物の不足」「お酒の飲み過ぎ」に関する認知度がほかの年齢層に比べ低かったことに触れ、「高血圧予防のために、公衆衛生活動を行う上で重要な知見である」と語った。

(日経メディカル別冊編集)