サクラクリニックの野田泰永氏

 早朝高血圧は心血管イベントの危険因子であることが知られており、早朝高血圧の発症に交感神経の亢進が関与しているのではないかと言われている。一方、L/N型Caチャネル拮抗薬であるシルニジピンは交感神経活性の抑制作用も持っている。そこで、サクラクリニック(名古屋市)の野田泰永氏は、早朝血圧のコントロールが不良である患者に対し、シルニジピンの就寝前投与を行い、早朝血圧に対する効果を検討した。その結果、早朝血圧(M)と就寝前血圧(E)の差であるME差が半減するなど早朝血圧コントロールの改善が得られたことを、9月20日に名古屋で開幕した日本高血圧学会(JSH2012)で報告した。

 対象は、降圧薬服用下にもかかわらず、家庭血圧測定において早朝血圧のコントロールが不良な高血圧患者70人(平均年齢69.6歳、男性38人、女性32人)。降圧薬の切り替え方は大きく3つあり、具体的には、シルニジピン以外のCa拮抗薬からシルニジピンの就寝前投与への切り替え(グループA)、シルニジピンの朝投与から同薬の就寝前投与への切り替え(グループB)、これまでの治療薬・投与法は変更せずにシルニジピンの就寝前投与の追加(グループC)であった。

 シルニジピンの就寝前投与の効果を全症例で見ると、早朝血圧については、変更前が147.9/82.9mmHg、1カ月後が137.7/78.6mmHg、3カ月後が133.7/77.3mmHgと、変更前に比べいずれも有意に低下していた(すべてP<0.001)。ME差については、変更前の21.2/11.4mmHgから1カ月後は10.9/7.5mmHgと改善し(いずれもP<0.001)、3カ月後においても10.5/6.6mmHgと良好な低下が保たれていた(いずれもP<0001)。一方、心拍数に関しては、有意な変化は認められなかった。なお、シルニジピン投与にもかかわらず変化しなかった理由の1つとして、アゼルニジピンが投与されていた患者の割合が高かった点を挙げた。

 グループAのうち、他のCa拮抗薬の朝投与からシルニジピンの就寝前投与に切り替えたグループa(平均年齢69.7歳、男性10人、女性15人)で早朝の血圧や心拍数の推移を見ると、全体と同様の傾向が認められた。ME差についても、変更前が19.9/10.9mmHg、1カ月後が6.8/6.5mmHg、3カ月後が8.9/3.4mmHgと、変更前に比べいずれも有意に低下していた(すべてP<0.001)。さらに、グループBでもグループCでも、早朝の血圧や心拍数、ME差において全体と同様の傾向が確認された。

 すなわち、他の薬剤からの切り替え投与、シルニジピンの投与時間の変更、他の薬剤への追加投与のいずれのケースにおいても、シルニジピンの就寝前投与は早朝血圧コントロールの有意な改善をもたらすことが分かった。

 以上の結果より野田氏は、「早朝の血圧がなかなか十分に下がらない高血圧患者に対するシルニジピン就寝前投与への切り替えや追加は、速やかな改善をもたらす有用な選択肢と考えられる」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)