琉球大学大学院医学研究科薬物作用制御学の植田真一郎氏

 日本人本態性高血圧患者に対して低用量利尿薬(サイアザイド)を使用したときに新規糖尿病の発症がどのくらい増えるのかを前向きに検討したDIME Study。その主要評価項目の結果が9月20日に名古屋で開幕した日本高血圧学会(JSH2012)で報告された。結論は、低用量利尿薬を使用しなかった場合に比べて、糖尿病発生リスクは変わらないというものだった。琉球大学大学院医学研究科薬物作用制御学の植田真一郎氏が発表した。

 サイアザイド系利尿薬については、心血管イベントリスクを低減するというエビデンスが報告されているが、一方で糖尿病発生リスクを高めるのではないかとの懸念も指摘されていた。このため、植田氏をはじめとする日本高血圧学会DIME研究グループは、低用量利尿薬を適切に併用した場合は、糖尿病発生リスクを高めないとの仮説のもと、ランダム化比較試験であるDIME Studyを実施した。

 対象は、1200人の糖尿病、痛風を合併していない高血圧患者で、無作為に利尿薬使用群、非使用群に割り付けた。使用群の利尿薬については、HCTZ 12.5mg相当またはそれ以下とした。140/90mmHg未満を血圧達成目標とし、利尿薬使用群では目標達成のために必要であれば利尿薬以外の降圧薬を追加使用した。一方、非使用群では、利尿薬以外の降圧薬で目標達成を目指した。

 主要評価項目は新規の糖尿病発生とした。対象は半年ごとに空腹時血糖を、1年ごとにHbA1cの測定を行った。糖尿病の発生あるいは副次評価項目については割り付けを知らされていない判定委員会が評価した。

 試験の結果、1171人が登録された。このうち1130人が無作為化され、低用量利尿薬群が544人、非利尿薬群が586人となった。最終的には、使用群の499人、非使用群の550人がそれぞれ解析対象となった。

 患者背景には著しい差は見られず、無作為化は成功していた。また使用された薬については、利尿薬以外に、両群間で著しい差を認めなかった。

 2004年から2012年までの8年間の追跡期間において、使用群で26例(5%)、非使用群で30例(5%)の新規糖尿病の発生があったが、両群間に有意差は認められなかった。性別、家族歴の有無、空腹時血糖値の違い、年齢、BMI、β遮断薬使用の有無、ACE/ARB使用の有無などのサブグループごとに新規糖尿病発生を比較した結果においても、両群間に有意差は認めなかった。

 これらの結果から植田氏は、「日本人本態性高血圧患者に対する低用量利尿薬の使用において、新たな糖尿病の発生リスクは非使用群と変わらなかった」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)