大阪大学大学院老年・腎臓内科学の河合達男氏

 外来血圧の変動が大きい症例では腎内の血管障害の度合いが大きく、腎機能が低下している可能性が示された。外来血圧変動腎機能の関連を示した初めての研究成果だという。大阪大学大学院老年・腎臓内科学河合達男氏らが、10月20日から22日に宇都宮で開催された日本高血圧学会(JSH2011)で報告した。

 対象としたのは、自施設で腎血流ドプラを実施し、その前後で6回以上、外来受診し、血圧を測定し得た連続143人とした。外来血圧変動として、血圧値の標準偏差(SD)と標準偏差を平均値で除した変動係数(CV)を用い、eGFR、蛋白尿、腎区域動脈の抵抗性指標(RI:resistive index)との関連性を調べた。

 このRIは腎ドプラによる測定で得た腎区域動脈の最高流速から拡張末期流速を引き、それを最高流速で除した値で、腎内の血管抵抗や動脈硬化度を反映する指標とされる(高値ほど血管抵抗が高い)。河合氏らもこれまでに、RIがeGFRよりも鋭敏に腎内血管障害を評価できることを報告してきた。

 対象者のベースラインの年齢は59.0歳(うち男性64人、女性79人)、eGFRは59.0(mL/分/1.72m2)、血圧は138.2/77.4mmHg、RIは0.70だった。

 まず、収縮期血圧のSD値の四分位で4群に分けたところ、外来血圧変動が大きいほど、蛋白尿(微量アルブミン尿または顕性蛋白尿)を呈する比率が有意に高かった(P=0.0014)。

 またRIについても、収縮期血圧のSD値(四分位)が高いほど高値を示し、最もSDが大きい第4四分位群は、第1‐3四分位群のRI値に対し、有意に高値だった(P<0.05;対第1四分位、P<0.005;対第2・第3四分位)。収縮期血圧のCV値についても同様の結果が得られた。

 この外来血圧変動とRIの関連は、重回帰分析により、他の動脈硬化リスク因子(年齢、BMI、収縮期血圧、eGFR、糖尿病の有無)で調整しても有意だった(SD、CVともP<0.0001)。

 河合氏はこれらの結果から、外来血圧変動は他の因子と独立に腎機能と相関し、腎機能の有用な予後予測因子として利用できると結論した。また、「前向き研究の結果を待たなければならないが、外来血圧変動をサロゲートエンドポイント(治療行為に対する評価を短期間で行うための評価項目)として、治療目標にできる可能性があるのではないか」と考察した。

(日経メディカル別冊編集)