発表者の梅木陽子氏(元福岡女子大学助手)

 「減塩=まずい」を払拭するために開発した減塩弁当を医師らに食べてもらったところ、70%が「美味しい」と回答、「減塩とは気づかなかった」も78%と高率だった。また、市販された場合に「ぜひ食べたい・食べる」は84.3%、高血圧患者に「勧める」も87.7%に上るなど高い評価だったことも明らかになった。福岡女子大学大学院早渕仁美氏らが開発しているもので、10月22日まで宇都宮で開催されていた日本高血圧学会(JSH2011)で成果を報告した。

 研究グループは加工食品関連企業10数社と連携し、新たな減塩弁当の開発に取り組んでいる。これまでに、減塩率が30%以上になるようにNaClをKClで代替し、ポリグルタミン酸を添加して味を調えた調味料や加工食品を開発するなど、実用化へ向けた取り組みを加速させている。

 前回の福岡で開催された日本高血圧学会では、こうした新規減塩食品を用いて「和風減塩ヘルシー弁当」を造り、ランチョンセミナーにおいて医師らに実際に食べてもらい、「減塩=まずい」を払拭できる実力があるかどうかを評価した。

 初日のランチョンセミナーでは、外見が同じ減塩弁当と対照弁当の1セットを用意し、どちらが減塩かを明らかにせずに食べてもらった。減塩弁当は282kcal、食塩相当量1.06gで、対照弁当は284kcal、食塩相当量1.73gだった。

 食後にアンケートを実施したところ、776人から回答を得た。まず、どちらが減塩弁当かの質問では、正解したのは62.1%(482人)だった。減塩と回答したことの自信を尋ねたところ、正答者は51.0%、誤回答者(286人)は38.8%が「ある」と回答していた。また、どちらを好むかの質問には、正答者では48.5%が減塩弁当を、46.5%が対照弁当を挙げ、一方の誤回答者では44.1%が減塩弁当を、52.4%が対照弁当を挙げた。この点について演者らは、「実食した人のほとんどは減塩弁当と対照弁当の判別ができなかった」と推察した。

 2日目は和風松花堂減塩弁当(526kcal、食塩相当量2.15g)、3日目は福岡の郷土料理であるかしわ飯と筑前煮の減塩弁当(641kcal、1.82g)を提供した。初日と同様にアンケートを実施。2日間で1504人から回答を得た。

 アンケートでは、塩分、分量、味の好み、減塩と感じたかどうか、市販された場合に食べたいか、患者へ勧めるかなどを尋ねた。その結果、塩分については69.1%が「ちょうどよい」と回答し、分量についても74.1%が「ちょうどよい」と回答した。味については、「大変美味」が14.2%、「美味しい」が56.4%で合わせて70.6%が美味しいと回答した。減塩については、「気づかなかった」が78.1%と高率だった。

ナチュラルローソンが具材減塩率3〜7割減を実現した減塩おにぎり(宇都宮大会で展示)

 一方、市販された場合については、「ぜひ食べたい」が28.1%、「食べたい」が56.3%と好評だった。高血圧患者へ勧めるかについては、「ぜひ勧める」が41.0%、「勧める」が46.7%と90%近くが勧めると回答した。

 これらの結果から演者らは、「減塩弁当に用いた新規減塩食品は、無理なく美味しい減塩を可能にすることが示唆された」と結論した。なお、実用化の面では、ナチュラルローソンが具材減塩率3〜7割減を実現した減塩おにぎり(写真、宇都宮大会で展示)の販売を展開するなど、商品化にこぎつけたものも出てきている。

(日経メディカル別冊編集)