東北大学病院の井上隆輔氏

 タバコを吸わない女性であっても、同居家族に喫煙者がいる場合は、いない場合に比べて家庭高血圧発症のリスクが有意に高いことが分かった。大迫研究の参加者を対象とした縦断的な検討で明らかになったもので、東北大学病院井上隆輔氏らが、10月20日から22日まで宇都宮で開催された日本高血圧学会(JSH2011)で発表した。

 対象は大迫地域住民のうち、家族と同居している35歳以上の非喫煙女性で、家庭血圧を追跡できた家庭血圧正常(125/80mmHg未満かつ降圧薬非服用)の469人(平均53.7歳)。これを同居家族の喫煙状況によって、「家族の喫煙なし」「過去に家族の喫煙あり」「現在家族の喫煙あり」の3群に分けて、同居家族の喫煙の影響を比較検討した。

 追跡期間は平均8.1年(4.8−18.4年)だった。「家族の喫煙なし」は132人、「過去に家族の喫煙あり」は39人、「現在家族の喫煙あり」は298人だった。

 追跡期間中に70人の家庭高血圧の発症を認めた。そのうち家庭高血圧高値が34人、降圧薬内服開始が36人だった。

 「家族の喫煙なし」群を基準とした場合の家庭高血圧発症のオッズ比(年齢や家庭収縮期血圧、肥満の有無、同居喫煙者の人数、追跡年数、糖尿病などの有無で補正済み)を求めたところ、「現在家族の喫煙あり」群は4.48(95%信頼区間:1.50−13.4)となり有意に高値だった(P=0.0072)。また、「過去に家族の喫煙あり」群は、1.56(同:0.37−6.53)と有意ではなかったが高い傾向にあった。

 これらの結果から演者らは、「同居家族の現在の喫煙が家庭高血圧発症と有意に関連した」と結論。「受動喫煙そのものも心血管疾患リスクであるが、さらに家庭高血圧発症により相乗的にリスクが上昇する可能性がある」と指摘した。また、「過去に家族の喫煙あり」群ではリスクの上昇傾向を認めたが有意でなく、また「現在家族の喫煙あり」群よりもリスクが低かった点に着目し、同居家族が禁煙することで家庭高血圧発症リスクが低下する可能性があると指摘した。

(日経メディカル別冊編集)