日本赤十字社長崎原爆病院の芦澤直人氏

 早朝高血圧を有する患者では、QT延長と交感神経の過緊張が認められ、これが心血管リスク上昇に寄与している可能性が指摘されている。こうした患者において、L/N型Caチャネル拮抗薬シルニジピンが、QT間隔を短縮することが示された。シルニジピンが早朝高血圧だけでなく、突然死を抑制する可能性を示唆する研究成果で、10月20日から22日に宇都宮で開催された日本高血圧学会(JSH2011)で、日本赤十字社長崎原爆病院芦澤直人氏が発表した。

 シルニジピンは、早朝高血圧に対しても有効なCa拮抗薬であることが知られている。最近、QT延長症候群のモデルである犬の慢性心不全房室(AV)ブロック心の電気的リモデリングを改善することも明らかになっている。

 今回、芦澤氏らは、早朝高血圧のコントロールが困難で、シルニジピンを投与されていた外来患者52人のうち、投与前と投与3カ月後の心電図が測定されていた44人(男性26人、女性18人)について、血圧、心拍数、血清カリウム、血清カルシウム、QT間隔の変化を後ろ向きに検討した。心電図は患者情報を持たない2人の測定者が別々に解析し、QT間隔の指標はBazettの補正式による補正値QTc間隔を用いた。

 シルニジピン投与開始から3カ月後において、QTc間隔の平均値は、投与前と比較して有意に低下していた(P<0.001)。血圧は収縮期、拡張期ともに有意に低下していた。血清カリウム、血清カルシウムは変化しなかった。

 治療前のQTc間隔が400ミリ秒未満(男性5人、女性1人)と400ミリ秒以上(男性21人、女性17人)に分けると、400ミリ秒以上の患者がやや高齢(69.2±8.5歳対71.9±11.1歳)であった。

 血圧は400ミリ秒未満では145.7±18.0/87.5±9.1mmHgから133.5±12.2/81.3±9.8mmHg、400ミリ秒以上では148.1±18.3/85.6±14.8mmHgから135.4±10.2/79.9±9.3mmHgへと、どちらの群も収縮期/拡張期ともに有意に低下していた(すべてP<0.01)。

 早朝高血圧患者では、脳卒中や心筋梗塞など脳・心血管疾患リスクが高く、これらの疾患は突然死の原因にもなっている。芦澤氏は今回の結果から、「シルニジピンは早朝高血圧の改善だけでなく、突然死を抑制する可能性が示唆された」と考察した。

(日経メディカル別冊編集)

■訂正
・10月26日に以下を訂正しました。
 本文第3段落で、「前向きに検討した」とありますが、正しくは「後ろ向きに検討した」でした。お詫びして訂正します。