市立甲府病院の河埜功氏

 高血圧治療の実態について山梨県の医師にアンケートを実施したところ、61%の患者が家庭血圧を測定しており、また降圧目標達成率は診察室血圧の場合で62%、家庭血圧の場合は68%と、全体のコントロール状況はまだ不十分と言えることなどが明らかになった。10月22日まで宇都宮で開催された日本高血圧学会(JSH2011)で、市立甲府病院の河埜功氏らが発表した。

 調査対象は山梨県で高血圧治療に携わる医師132人(病院勤務医師61人、診療所勤務医師71人)で、内訳は一般内科医が約50%、循環器科医25%、他科の専門医25%だった。

 調査項目は家庭血圧の実施率、第1、第2、第3選択薬と降圧目標達成率、積極的適応を有する場合の降圧薬の選択など。これらを元に実臨床の場で高血圧治療ガイドライン2009に基づいた治療が行われているかどうかを検討した。

 アンケート結果から、家庭血圧を測定している医師(61%、前出)に対し、診察室血圧と家庭血圧のどちらを参考に診断治療を行うかという質問をしたところ、半数以上の医師が家庭血圧と答えた。また家庭血圧を測定している患者が多い医師ほど患者の血圧コントロールが良好な傾向も見られた。

 積極的な適応がない場合の第1選択薬はARBが最も多く(68%)、第2選択薬はCa拮抗薬(63%)、第3選択薬は利尿薬(67%)だった。併用の組み合わせはARBとCa拮抗薬の併用が最も多く、次がARBと利尿薬だった。

 降圧目標達成率は単剤の場合で45%、2剤併用で64%、3剤併用で70%だった。

 積極的適応での薬剤選択については、左室肥大、心不全、心房細動、心筋梗塞後、蛋白尿、腎不全、糖尿病、メタボリックシンドローム、高齢者ではRA系阻害薬の選択が最も多かった。

 一方、狭心症、脳血管障害慢性期ではCa拮抗薬、頻脈ではβ遮断薬の選択が最も多かった。

 循環器科医と他科の医師で比較すると、心不全の症例では循環器科医はRA系阻害薬を多く選択するのに対し、他科の医師はRA系阻害薬のほかに利尿薬を選択する割合も高かった。狭心症では、他科の医師がCa拮抗薬を多く処方しているのに対し、循環器医はCa拮抗薬のほかβ遮断薬の選択も多かった。

 河埜氏は、「積極的適応を有する症例については、ガイドライン推奨の薬剤を選択している傾向が見られた。今後は、家庭血圧測定による24時間にわたる降圧が課題と考えられた」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)