うぶかた循環器クリニック院長の生方聡氏

 CKD診療ガイドライン2009の発表を機に、高血圧治療における腎機能管理の重要性が広く認知されるようになり、腎機能への配慮から降圧薬を変更するケースが増えている。蛋白尿を呈する高血圧患者に対し、他のCa拮抗薬からシルニジピンへの切り替えを行った新たな検討で、切り替え後、蛋白尿が著明に改善し、GFRの悪化をみることもなく、2年以上にわたって良好な降圧効果が維持されたとする成績が報告された。10月20日から22日まで宇都宮で開催された日本高血圧学会(JSH2011)で、うぶかた循環器クリニック(群馬県前橋市)院長の生方聡氏が発表した。

 交感神経抑制作用を併せ持つCa拮抗薬であるシルニジピンは、腎に対し、他のCa拮抗薬と同様の輸入細動脈拡張作用に加え、交感神経系の抑制を介して輸出細動脈をも拡張し、効率的に糸球体内圧を低下させる。

 今回、生方氏らは、明らかなCKD合併例だけでなく、CKDとは明確に診断できない患者も含めた蛋白尿異常を呈する高血圧患者において、シルニジピンへの切り替えの長期効果を検討した。

 対象は、蛋白尿定性検査で「±」以上の異常が認められ、他のCa拮抗薬からシルニジピンへの切り替えを行った高血圧患者のうち、2年以上の追跡が可能だった20人とした。平均年齢は74.4歳(41〜90歳)、男女比は11:9、eGFRは64.8±20.4mL/分/1.73m2であり、8人がCKDだった。

 シルニジピン処方前に使用していたCa拮抗薬は、アムロジピンが15人、ニフェジピン2人、ニソルジピン、ベニジピン、ジルチアゼムが各1人であり、これらの処方下での血圧は、144±23/80±19mmHgだった。

 シルニジピンへの切り替え後、全症例の平均血圧は若干低下したものの、有意差は認められなかった。しかし、切り替え前の降圧が不十分だった患者(SBP≧140mmHg、n=11)では、切り替え6カ月後から有意な降圧(P=0.018)が認められ、その効果は24カ月間の観察期間を通じて維持された。一般的なCa拮抗薬で見られることのある心拍数の増加は認められなかった。

 切り替え前の尿酸値が高値だった患者(≧7.0mg/dL、n=5)では、切り替えにより尿酸値が低下する傾向がみられ、24カ月後には解析した全例(4例)が7.0mg/dL未満となっていた(少数例のため有意差は認められず)。

 一方、切り替え前のeGFRが60mL/分/1.73m2未満だった患者(n=10)では、観察期間中に有意な改善は認められなかったが、現状が維持されていた。

 さらに、蛋白尿については、20例中14例(70%)で1段階以上の改善が認められ、「−」を0、「±」を1、「+」を2、「++」を3、「+++」を4、「++++」を5とした蛋白尿スコアの平均値は、24カ月間に2.4から1.6へと有意に低下した(P=0.006)。

 以上の結果より生方氏は、「シルニジピンは心拍数の増加や尿酸値の上昇やGFRの悪化などをもたらすことなく、他のCa拮抗薬と同等の降圧を得ることができる降圧薬であり、蛋白尿を呈する高血圧患者の降圧に有用」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)