京都府立大学大学院健康科学研究室の北岡かおり氏

 高血圧未治療の中高年男性に運動と食事の指導を5カ月実施したところ、野菜や果物の摂取が増え、食塩摂取量が0.5g/日減り、家庭血圧(収縮期)が5.7mmHg低下するなどの効果が得られた。10月20日から22日まで宇都宮で開催された日本高血圧学会(JSH2011)で、京都府立大学大学院健康科学研究室の北岡かおり氏らが発表した。

 対象は40歳から75歳の高血圧未治療男性で、希望によって介入群21人(平均年齢69.7歳)と比較群20人(同65.6歳)に分けた。対象者は5カ月間に5回の教室に参加し、調理実習や運動の指導などを受けた。食事指導は減塩と食事のバランスについて指導すると同時に、野菜・果物の摂取量を増やすよう指導した。運動指導は歩行、筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせたサーキット運動などとした。

 介入期間中は本人が毎日、家庭血圧、および塩分簡易測定器による食塩摂取量(早朝第1尿による食塩推定1日摂取量)を測定した。歩数(毎日記録)と食事記録(週に1回記録)も提出した。身体測定、早朝第2尿による尿検査、血液生化学検査などの測定をベースライン時と4回目の教室時の計2回行った。

 完遂率は介入群90.5%、比較群70.0%だった。介入群の早朝第1尿による食塩推定摂取量は10.3gから9.7gへ0.5g減少した(P=0.058)。家庭測定による収縮期血圧は、137.2mmHgから130.9mmHgへと有意に減少し(-5.7mmHg、P=0.005)、拡張期血圧も82.6から78.1と減少傾向を示した(-4.5mmHg、P=0.057)。尿中Na/K比の変化量は介入群がマイナス0.6、比較群がプラス0.3で、両群間の差はマイナス0.9で統計的に有意であった(95%信頼区間:−1.5〜−0.3、P=0.007)。

 会場からの「塩を減らすことばかり指導するのではなく、積極的に野菜や果物を取るよう指導したことがよかったのではないか」との指摘について北岡氏は、「介入群では、野菜と果物の摂取が増加していて、特に果物を1日に200g以上摂取した人は教育前の16.7%から33.3%に増加した。ただし、男性の場合は出されたものしか食べない傾向があるので、野菜を増やすことを習慣にするのは課題かもしれない」と話した。また、介入群の食塩摂取量の変化はマイナス0.5gとわずかな減少であったが、収縮期血圧は5.7mmHgも低下している点について、「介入群は、毎日平均で1万歩は歩いており、運動による降圧効果の影響が考えられるだろう」と語った。
 
(日経メディカル別冊編集)